「四万十ドラマ」畦地履正氏

みらいもりやま21

2011年03月22日 08:27

私が10年前に書いた小説には、中学生が国会でスピーチする場面がある。「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない」と。

今は逆のことが起きている。避難所では食料、水、薬品不足が深刻化している。東京も物や電力が不足している。生活そのものが脅かされており、政府や電力会社は対応が遅れている。

だが、全てを失った日本が得たものは、希望だ。大地震と津波は、私たちの仲間と資源を根こそぎ奪っていった。だが、富に心を奪われていた我々のなかに希望の種を植え付けた。だから私は信じていく。

危機的状況の中の希望村上龍氏のニューヨーク・タイムズへの寄稿文)より

また、「希望の国のエクソダス」や「半島を出よ」、そして「5分後の世界」を読みたくなった、石上です。




さて、先日、またもや凄い方に出会えました。


株式会社四万十ドラマ代表取締役 畦地履正(あぜちりしょう)さん。




ホームページによれば、彼は現在46歳。
四万十町に生まれ、農協勤務を経て、平成6年、当時第3セクターだった「株式会社四万十ドラマ」に公募で入社。
(※偶然ですが、29歳で公募により3セクに入社という経歴は、私と全く同じです。)

その後平成19年、道の駅「四万十とおわ」の指定管理を経て、株式会社四万十ドラマは、市から株式を買い取り、完全民営化。
そこで、畦地さんは代表取締役に就任、現在に至ります。


株式会社四万十ドラマは、考え方をつくる会社。

コンセプトは
ローカル(ネットワーク)
ローテク(1.5次産業、発着型産業)
ローインパクト(環境)
簡単にいうと、一次産業者である、生産者さんをとても大切にされているということ。

例えば栗を例に挙げると・・・





四万十の栗は、糖度が18~20。これは、メロンより甘いくらい(=クリとしてはかなり甘い)。しかも、全国平均(18g)に対して、約25gと、2割以上も大きい。
この栗を全国に売り出します。
それもただ単に、安売りするのではダメ。
「我々は商品を買ってください、とは絶対に言いません。その背景を買ってください。」
それはすなわち、「生産者」「つくりかた」「おもい」の3点を理解してもらい、買ってもらうということ。
現場を知らない人には絶対にモノは売れない、との信念から、バイヤーに必ず四万十まで足を運んでもらうそうです。

伊〇丹や成城〇井のバイヤーまでもが、商品を仕入れるため、四万十に訪れるというのだから、驚きです。




瓶入りの栗が一つ2,500円、写真左のロイヤルミルクティーは1本250円と少々値がはるのですが、通販サイトで売り切れるほどの人気商品。



栗だけではない、様々なアイデア商品を手がける、畦地さん。

中でも、大ヒット商品の一つがこれ。






新聞バッグ

あるパートのおばちゃんの発想で商品化に成功したそうですが、アメリカのバッグショーで、ルイヴィトンなどの一流ブランドを押しのけ、絶賛されたといいます。
現在、特許出願中で、作り方をレシピにして売り出しておられます。
また、個人でも作って売ることのできる権利を「インストラクター」と資格化し、四万十を訪れた人のみ、1泊2日3万円で取得することもできます。

全てが循環型ビジネス
生産者と消費者をうまく結びつけることで、ありがちな価格競争に巻き込まれることなく、生産者は無理なく商品を作り出せます。
消費者も、その背景(生産者、つくりかた、おもい)を知ることで、本当にいいものを安心して購入することができます。
そして消費者は背景を知ることで、四万十を是非訪れて見たいという気になります。


確実に現在、何もなかった(あったが、見せれていなかった)四万十を訪れる観光客は増えてきています。
そして、その中から(あるいは地元から)、一次産業に従事したいという若者が現れはじめているのです。

若者を育てるため、様々な取組みをされています。
内閣府の委託事業「地域密着型インターンシップ研修」であったり、
起業家支援「おまん何がしたいがぜよプロジェクト」



そして、指定管理を受けた道の駅「四万十とおわ」
通行量1,000台/日、程度の田んぼのど真ん中に、周囲の反対を押し切って作った施設。
たった3年で、現在30万人/年もが訪れているのです。


彼の話は、たった1時間程度でしたが、もっともっと話を聞きたいという思いがとまりません。
そしてそして、彼の故郷「四万十」を訪れたくて、たまらなくなってしまいました。
近い将来、必ず訪れることになります。
そのときはどうか宜しくお願いします。

リショーさん、素晴らしい講演をありがとうございました。


リショーがゆく
※早速、守山のことを取り上げてくださっています!
こまっていない(せっぱつまっていない)まち「守山」(笑)


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