実は彼、この日、午前中は大阪工業大学にて、午後は大津市のコラボしが21にて、そして夜は伊丹にて・・・と3本もの講演を抱えてらっしゃったのです。
大津に行くのもありだったのですが、うちの職員さん2名が行ってくれていることですし、彼が
「まちづくり」というテーマで話されるのにすごく興味があったのと、何より大好きな伊丹ということで行ってきました。
結論を先にいうと、この2年半で、たくさんの方の講演をお聞きしましたが、今までで一番といっていいくらい良かったです。
私の稚拙な文章などより、
まちづくりに関わる人すべてに、彼に直接会うか、彼の本をすぐにでも読んでほしいのですが、簡単に講演内容を紹介したいと思います。
【きっかけ】
山崎亮氏は元々
ランドスケープデザイナー。
※ランドスケープデザイナーというのは公園、家の外観、ビルの外構、広場、庭園、街路、 リゾート、屋上庭園、大学のキャンパス、病院の中庭など、環境デザインとか景観設計と呼ばれる様々な屋外空間をデザインする人のこと。
そんな彼が、あるとき気付きます。
自分が設計した公園に、
5年も経つと人が訪れなくなることに。
高名な諸先輩方や雑誌に載るような公園も同じ。
いくらデザインを頑張っても利用されなくなる。
核の炎に包まれなくたって(山崎さんはそんなこといってませんがw)2050年、日本の人口は約半分になります。
そんななか、公園をいくら作ったって、利用されるはずがない。
これは、
その後の使われ方を考えるべきなのでは。
という、発想へと変わっていくのです。
【パークマネジメント】
美術館や博物館には館長がいる。
それなのに、なぜ公園には園長がいないのか。なぜ学芸員がいないのか。
設計でなく、
いかに人を呼ぶかというテーマで、兵庫県の
「有馬富士公園」に関わることに。
公園の見本といえば、やはり
ディズニーランド。
(と、さらっとおっしゃいましたが、タダものの発想ではありませんw)
研究のため、一人でディズニーランドを訪れるうち、その秘密に気付きます。
掃除夫一人一人までが、ゲスト(客)を楽しませようとしているのが、その魅力。
つまり、
人にあるのだと。
≪ディズニーランドの仕組み≫
管理者
| 雇用
キャスト
・・・・・・・・・・・・・・
|
ゲスト
≪有馬富士公園が目指す仕組み≫
管理者 雇用
|
・・・・・・・・・・・・・・
キャスト
|
ゲスト
強烈に印象に残る表現
「お金ももらわないのに、歌って踊ってくれる人」
たちをどれだけ多く巻き込み、引き込めるか。
「人の流れをつくるのは、結局は「人」でしかない。」
そこで、
近隣で既に活動している約50団体(NPOや法人格を持たないサークルまで)に声をかけ、公園で活動してもらうように働きかけます。
これが、まさに
コミュニティデザイン。
つまり、元々
関係性のない、ある人と人の集まりの組み合わせをデザインし、人のつながりをつくり、大きな力にしていくということ。
有馬富士公園の事例では当初20団体が関わり、公園内で様々なプログラムが実施されることになりました。
プログラムについてのルールは、
自分たちだけが楽しむのは×。来園者も楽しめるもの。
結果、山崎氏の手を離れた現在でも、80団体が関わり、年間75万人(当初の平成13年度は41万人)が訪れる公園となっています。
【まちづくり】
パークマネジメントの発想を、「まちづくり」のみならず、「大学」「企業」などさまざまなコミュニティで活かしておられます。
デパートの各階に、あえてテナントに貸さない
ガーデン(穴)を設け、そこをさまざまな団体に使ってもうらうことで、来客者層の拡大につなげた成功事例、
マルヤガーデンズ。
駅前のエリア全体を有馬富士公園と同じように捉え、空き店舗や空き地を団体に使ってもらうことにした延岡駅前(宮崎県)の事例。
「いつ行っても誰かが何かをやっている駅前」
を目指す。
関わっているのは当初60団体→現在135団体、
最初は見向きもしなかった団体までもが、関わってくるようになり、ものすごくいい雰囲気だそうです。
全ての事例に共通することですが、各団体にとって
「疲れないように、できることをやる」ことが重要で、
週2~3回活動するところもあれば、月1回の活動のところもあるわけです。
【まとめ】
「すべてのまちが東京を目指す時代はとっくに終わりました。皆さんが目指すべきは、自分のまちの半分くらいの人口で、元気で活気のあるまちですよ。」
そうだ、現在は人口が増えている守山だって、近い将来、人口が半分になるときが来るんだ。
だから、中活をやっているんだ。
「イオンモールやジャスコに行くなとはいいません。私だって買い物に行きます。でも、彼らの事業計画は20年で一区切り。20年後の判断で、あっさり撤退してしまうことは十分にあり得ます。そうなったとき、皆さんはどこで買い物しますか。駅前の商店街の活性化は、商店街のためだけではありません。実はそこに住む市民自身のために必要なのです。」
だから、そこに住む市民(様々な団体)が駅前商店街(中心市街地)に関わり、常にそこで活動する。
わかっているようで、まだまだ実現できていない部分なのです。
「公共的な事業の住民参加を通じて、まちづくりの『担い手』を育成する」
伊丹のバルがそうであるように、活気のあるまちは、商業者+行政だけでなく、各事業において、一見利害関係のないように思える市民や団体の姿がはっきりと見えています。
山崎さんはたくさんの地域に入り込んでいますが、どの地域からも5年ほどで離れています。
ここが私にとって、とても重要なのです。
彼がやっていることは、まさに「タウンマネージメント」のひとつ。
つまり、常に「よそもの」(外部からの視線を持つ)の彼だからこそできること、考えられる発想を活かしておられるのです。
タウンマネージャーにとって、「地域に入り込むことは極めて重要だが、入りこみすぎてしまうことも弊害がある」という私の悩みに彼という存在は、一筋の光明です。
そもそもタウンマネージャーという理念を根底から覆す存在であると思います。
彼はその面では素人でありながら、いろんなまちの総合計画策定などにも携わっています。
私が以前から感じる
「まちづくりにコンサルの押しつけなんか不要」という考えをまさに証明しているのです。
そもそも、それぞれのまちには、そこに住み、まちのことをよく知っていて、誰よりも自分のまちを愛している人たちが必ずいるのです。
その人たちを繋げ、力にしていく。
それこそが、山崎亮さんの仕事であり、
私のような者の役目なんだとはっきり認識できました。
私が書くと、どうしても理屈っぽくなりますが、山崎さんの話は非常にわかりやすく、楽しいものでした。
やることもはっきりしていて、今日から実行できることばかり。
でも、ひとつだけ問題が・・・。そもそもどうやったら、それだけたくさんの人とコミュニケーションをとることができるのか。
マダムが素晴らしい質問をしてくれました。
「山崎さんは、それぞれの地域でたくさんの人と仲良くなって、考えや意見を引き出し、巻き込んでおられますが、そのために何か特別に意識されていることはありますか?」
「YES ANDですね」
最後になりましたが、今回お声かけいただき、一番いい席まで確保してくれたマダム、
こんなに素晴らしく、人気があって超多忙な人をイチNPOとして、呼ぶことに成功したいたみタウンセンターの皆様、
そして、何よりその土壌、空気をつくった伊丹の皆様、ありがとうございました。
12月8日は宜しくお願いします。
終了後の懇親会 きゅらむんにて
※同行者募集!
一人でコソっと行くつもりでしたが、伊丹のコミュニティデザイナー中脇氏に
「石上くんには負けへんで~(聴衆者の数)」
と宣戦布告を受けたので、どなたかお暇な方、12月8日木曜日の夜、一緒に伊丹のまちづくりの勉強会に行って下さいませんか?(笑)