2010年07月28日
なぜサムスンだけが一人勝ちできるのか
サムスンより、韓流スターの席巻の方に脅威を感じる石上です。
つい最近まで、サムスンなんて、世界の中で三流メーカーだと思っていました。
私と同じように誤解している日本人も多いのではないでしょうか。
「サムスン電子は不振により2000年頃、日本における白物家電販売から撤退した」
という事実がこの思い込みを生んだのでしょう。
実際のサムスン電子という企業は
純利益100億ドル
製造業ではトヨタに次ぐ世界2位
日本大手電機メーカー9社(ソニー・シャープ・東芝・パナソニック・他)をあわせた規模を遥かに凌ぐ、
世界一の電機メーカーなのです。
サムスングループとしてみれば、韓国GDPの実に20%近くを占めている超巨大財閥なのです。
1990年代後半のアジア通貨危機(AFC)をものともせず、ここまでの成長を見せたサムスンの秘密に迫ります。
かつて常務取締役として辣腕をふるった吉川良三氏が、昨夜ライズヴィル都賀山にて、現在飛ぶ鳥を落とす勢いの「守山商工会議所青年部」主催のセミナーで講演をして下さいました。
題して、
「危機の経営」に学ぶ
~ものづくり日本の復活のために~
東京大学大学院経済学研究科
ものづくり経営研究センター
特任研究員 吉川良三氏
普段は5~6時間かけて説明することを今回は1時間少々でということで、駆け足の講演ではありましたが、短い中にも心打つ言葉がありました。
いくつか紹介したいと思います。(以下緑字が吉川氏の言葉)
つい最近まで、サムスンなんて、世界の中で三流メーカーだと思っていました。
私と同じように誤解している日本人も多いのではないでしょうか。
「サムスン電子は不振により2000年頃、日本における白物家電販売から撤退した」
という事実がこの思い込みを生んだのでしょう。
実際のサムスン電子という企業は
純利益100億ドル
製造業ではトヨタに次ぐ世界2位
日本大手電機メーカー9社(ソニー・シャープ・東芝・パナソニック・他)をあわせた規模を遥かに凌ぐ、
世界一の電機メーカーなのです。
サムスングループとしてみれば、韓国GDPの実に20%近くを占めている超巨大財閥なのです。
1990年代後半のアジア通貨危機(AFC)をものともせず、ここまでの成長を見せたサムスンの秘密に迫ります。
かつて常務取締役として辣腕をふるった吉川良三氏が、昨夜ライズヴィル都賀山にて、現在飛ぶ鳥を落とす勢いの「守山商工会議所青年部」主催のセミナーで講演をして下さいました。
題して、
「危機の経営」に学ぶ
~ものづくり日本の復活のために~
東京大学大学院経済学研究科
ものづくり経営研究センター
特任研究員 吉川良三氏
普段は5~6時間かけて説明することを今回は1時間少々でということで、駆け足の講演ではありましたが、短い中にも心打つ言葉がありました。
いくつか紹介したいと思います。(以下緑字が吉川氏の言葉)
今、世界の産業構造が大きく変化している。
これは、産業革命に近いくらいの変化である。
このことに大半の日本人は気付いていない。
例:携帯電話
海外からの視察団に
「日本は携帯電話を作るのをやめたのですか?」
と尋ねられ驚いた。
それもそのはずである。
日本国内での製造台数は約3500万台。ほぼ国内のみでしか流通していない。
対して、サムスン製が2.5億、ノキア製が4億台、世界中で流通している。
これがいわゆるガラパゴス現象を引き起こしているのだ。
日本が茹でガエルになった原因
経営者・技術者・消費者3者の傲慢があった。
経営者・・・技術者(エンジニア)を大切にせず、使い捨てにしたため、1990年代(バブル崩壊後)において、技術者の流出が相次いだ。
技術者・・・自分たちの作ったものは誰にも真似できないと思い込んだ。
消費者・・・おまけがついて当たり前、本当にいいモノを見分けることをしなくなった。
サムスン(韓国)の考え
石橋を叩いて渡ったりはしない。
後ろについて来る者も渡れる石橋など、最初から渡らない。
後ろについて来る者が決して渡れない、腐った橋こそ渡るものだ。
サムスンの会長が言っていることと、50年前に松下幸之助氏が言っていたことは驚くほど似ている。
(松下幸之助から学んだということ)
松下 サムスン
いかに松下が大きくなろうとも常に ⇒ 常に危機意識を持て
質実謙譲を旨とする 驕るなかれ
1.お客様大事の心 ⇒ 不平不満を丁寧に聞け
2.お客様の声を聞け ⇒ 顧客の顧客の声を聞け
3.魂を込めたものづくり ⇒ 地域密着型ものづくりの構築
使う人の身になって
4.サービス 損して得取れ ⇒ 不良が出たらすぐ直す。顧客を待たせない。
5.利益感 ⇒ 営業利益率二桁以上
儲けなければ意味がない ROI10%以上
日本が改善すべき点
今までは、国際化といっても
「単に安い労働力を求め、海外生産していただけ」
これからは
「市場として期待されているところに、拠点をおき、その国の文化にあった地域密着型ものづくりをしなければならない」
⇒グローバル化
ものづくりは良い設計情報を顧客に届ける一連のプロセスのこと。
サービスもソフトも、ものづくりなのだ。
日本のものづくりは、対面接客サービス、思いやりを忘れてしまっている。
日本のメーカーは危機感を持つことはあっても、危機意識が欠落している。
う~ん、製造業うんぬんでなく、日本人全てに聞いてほしい素晴らしいセミナーでした。
ここからは、ふと私の頭をよぎったこと。
今をときめく、Apple社のiPad。
現在、価格は約500ドルですが、原価はなんと半額程度。
利益率50%を超える、まさにドル箱商品な訳ですが、その秘密は部品に日本製品を使っていないところにあるそうです。
主要部品のメーカー・・・
「液晶ディスプレイ」 LG(韓国)
「フラッシュメモリー」 サムスン電子(韓国)
「タッチパネル」 勝華科技(台湾)
「DRAM」 サムスン電子(韓国)
「電源管理チップ」 ダイアログセミコンダクター(独)
「バッテリー」のみ唯一、アンプレックステクノロジーというTDKの子会社(でも、台湾法人)
アップルが重視するのは、今後の普及に合わせて段階的に価格を引き下げるため、需要に対応できる供給能力と低価格。
かつて、この2点で、世界最高を誇った日本製部品は見る影もないんです。
「日本が技術で席巻する時代は終わった」
という吉川氏の言葉は、
現在、世界で最もヒットしている商品の一つであり、また最新テクノロジーを駆使した
iPadの部品を見ることで痛いほどに実感できます。
では、技術で圧倒的に勝っていたはずの日本製品が、これほどまでに後塵を踏むことになったのはなぜでしょうか。
吉川氏がおっしゃった
「インドタタ自動車大ヒットの事例」
「屋根があって走ればいい」という、車として最低限の機能のみを持ち、ローコストに拘り、価格は30万円以下。ラジオ・エアコンなどはすべてオプション(標準装備ではない)。
このヒットは、現在一人当たりのGDPが、日本の1965年当時と同水準のインドでは当然のこと。
もし1965年当時の日本に、現在の超ハイテクハイブリッドカーを押し付けたとして、一体誰が買うというのでしょうか?
この事例から、私はかつてのソニーのウォークマンを思い出しました。
「ウォークマン開発秘話」
(ちくま新書 地域再生の罠より引用)
1979年 携帯型音楽再生専用機として発売。
当時の技術者たちは猛反対「このような陳腐な機械が売れるはずがない!」
⇒小型化のため、「音質の悪化」「録音機能を外す」など技術的に退化させたから。
当時「素晴らしい技術を先に出せば、客はそれに従う」という考えが主流だった
=「提供者志向(技術優先志向)」
当時の社長盛田昭夫氏が
「技術を売るのではなく、『音楽を携帯する』という、目に見えていない顧客の潜在ニーズに応えるのだ」
と反対する周囲を説得し発売。後の大成功に繋がったのです。
提供者(技術優先)志向⇒顧客(消費者)志向
30年も前に、学んだはずのことを日本の企業は忘れてしまったのでしょうか?
まさにまちづくりも同じでしょうね。
ハコモノありき、行政主導の基本計画ありきではダメなんです・・・。
これは、産業革命に近いくらいの変化である。
このことに大半の日本人は気付いていない。
例:携帯電話
海外からの視察団に
「日本は携帯電話を作るのをやめたのですか?」
と尋ねられ驚いた。
それもそのはずである。
日本国内での製造台数は約3500万台。ほぼ国内のみでしか流通していない。
対して、サムスン製が2.5億、ノキア製が4億台、世界中で流通している。
これがいわゆるガラパゴス現象を引き起こしているのだ。
日本が茹でガエルになった原因
経営者・技術者・消費者3者の傲慢があった。
経営者・・・技術者(エンジニア)を大切にせず、使い捨てにしたため、1990年代(バブル崩壊後)において、技術者の流出が相次いだ。
技術者・・・自分たちの作ったものは誰にも真似できないと思い込んだ。
消費者・・・おまけがついて当たり前、本当にいいモノを見分けることをしなくなった。
サムスン(韓国)の考え
石橋を叩いて渡ったりはしない。
後ろについて来る者も渡れる石橋など、最初から渡らない。
後ろについて来る者が決して渡れない、腐った橋こそ渡るものだ。
サムスンの会長が言っていることと、50年前に松下幸之助氏が言っていたことは驚くほど似ている。
(松下幸之助から学んだということ)
松下 サムスン
いかに松下が大きくなろうとも常に ⇒ 常に危機意識を持て
質実謙譲を旨とする 驕るなかれ
1.お客様大事の心 ⇒ 不平不満を丁寧に聞け
2.お客様の声を聞け ⇒ 顧客の顧客の声を聞け
3.魂を込めたものづくり ⇒ 地域密着型ものづくりの構築
使う人の身になって
4.サービス 損して得取れ ⇒ 不良が出たらすぐ直す。顧客を待たせない。
5.利益感 ⇒ 営業利益率二桁以上
儲けなければ意味がない ROI10%以上
日本が改善すべき点
今までは、国際化といっても
「単に安い労働力を求め、海外生産していただけ」
これからは
「市場として期待されているところに、拠点をおき、その国の文化にあった地域密着型ものづくりをしなければならない」
⇒グローバル化
ものづくりは良い設計情報を顧客に届ける一連のプロセスのこと。
サービスもソフトも、ものづくりなのだ。
日本のものづくりは、対面接客サービス、思いやりを忘れてしまっている。
日本のメーカーは危機感を持つことはあっても、危機意識が欠落している。
う~ん、製造業うんぬんでなく、日本人全てに聞いてほしい素晴らしいセミナーでした。
ここからは、ふと私の頭をよぎったこと。
今をときめく、Apple社のiPad。
現在、価格は約500ドルですが、原価はなんと半額程度。
利益率50%を超える、まさにドル箱商品な訳ですが、その秘密は部品に日本製品を使っていないところにあるそうです。
主要部品のメーカー・・・
「液晶ディスプレイ」 LG(韓国)
「フラッシュメモリー」 サムスン電子(韓国)
「タッチパネル」 勝華科技(台湾)
「DRAM」 サムスン電子(韓国)
「電源管理チップ」 ダイアログセミコンダクター(独)
「バッテリー」のみ唯一、アンプレックステクノロジーというTDKの子会社(でも、台湾法人)
アップルが重視するのは、今後の普及に合わせて段階的に価格を引き下げるため、需要に対応できる供給能力と低価格。
かつて、この2点で、世界最高を誇った日本製部品は見る影もないんです。
「日本が技術で席巻する時代は終わった」
という吉川氏の言葉は、
現在、世界で最もヒットしている商品の一つであり、また最新テクノロジーを駆使した
iPadの部品を見ることで痛いほどに実感できます。
では、技術で圧倒的に勝っていたはずの日本製品が、これほどまでに後塵を踏むことになったのはなぜでしょうか。
吉川氏がおっしゃった
「インドタタ自動車大ヒットの事例」
「屋根があって走ればいい」という、車として最低限の機能のみを持ち、ローコストに拘り、価格は30万円以下。ラジオ・エアコンなどはすべてオプション(標準装備ではない)。
このヒットは、現在一人当たりのGDPが、日本の1965年当時と同水準のインドでは当然のこと。
もし1965年当時の日本に、現在の超ハイテクハイブリッドカーを押し付けたとして、一体誰が買うというのでしょうか?
この事例から、私はかつてのソニーのウォークマンを思い出しました。
「ウォークマン開発秘話」
(ちくま新書 地域再生の罠より引用)
1979年 携帯型音楽再生専用機として発売。
当時の技術者たちは猛反対「このような陳腐な機械が売れるはずがない!」
⇒小型化のため、「音質の悪化」「録音機能を外す」など技術的に退化させたから。
当時「素晴らしい技術を先に出せば、客はそれに従う」という考えが主流だった
=「提供者志向(技術優先志向)」
当時の社長盛田昭夫氏が
「技術を売るのではなく、『音楽を携帯する』という、目に見えていない顧客の潜在ニーズに応えるのだ」
と反対する周囲を説得し発売。後の大成功に繋がったのです。
提供者(技術優先)志向⇒顧客(消費者)志向
30年も前に、学んだはずのことを日本の企業は忘れてしまったのでしょうか?
まさにまちづくりも同じでしょうね。
ハコモノありき、行政主導の基本計画ありきではダメなんです・・・。
Posted by みらいもりやま21 at 18:34│Comments(7)
│講演・研修レポート
この記事へのコメント
昨日はお疲れ様です。
またまた帰りが2時でした・・・(笑)
僕も日本で行き抜くためにも頑張ります!!
今日は9時半から勉強してきます。
またまた帰りが2時でした・・・(笑)
僕も日本で行き抜くためにも頑張ります!!
今日は9時半から勉強してきます。
Posted by さだ at 2010年07月28日 20:17
>さださま
早く、元町での夜の勉強会連れてって下さ~いww
早く、元町での夜の勉強会連れてって下さ~いww
Posted by みらいもりやま21 石上 at 2010年07月28日 20:34
昨日、U建築士さんと勉強してきました(笑)
Posted by さだ at 2010年07月28日 20:57
昨日はわざわざのご来場ありがとうございました。市外からの来客への対応に追われ、市内の方はゆっくり確認させてもらえていませんでした。
しかし…丁寧なるレポート!さすがは勉強家!
これをこのまま…YEGメンバーがコピーして…完了報告書にしてしまったら困ります。
コピーガード機能を…ブログに申請願います!
なお…私のブログ「水面(みなも)のユラギ」のほうでは…ちょっとイメージ変えてレポートしてみるつもりです。
いつも大酒氏にボヤかれるとおり…一回では完了できずにいます。また…ご覧ください。
なお…公的な使用に限り、写真の再利用していただくことも喜んで!がスタンスです。K企画員さんにもお知らせしました通りです。みらいもりやま21さんなら…どうぞご自由に。
しかし…丁寧なるレポート!さすがは勉強家!
これをこのまま…YEGメンバーがコピーして…完了報告書にしてしまったら困ります。
コピーガード機能を…ブログに申請願います!
なお…私のブログ「水面(みなも)のユラギ」のほうでは…ちょっとイメージ変えてレポートしてみるつもりです。
いつも大酒氏にボヤかれるとおり…一回では完了できずにいます。また…ご覧ください。
なお…公的な使用に限り、写真の再利用していただくことも喜んで!がスタンスです。K企画員さんにもお知らせしました通りです。みらいもりやま21さんなら…どうぞご自由に。
Posted by @sun_ya_so at 2010年07月29日 19:38
>sun ya soさま
レポート拝見しましたよ~。さすがですね。
私の稚拙な文章がお恥ずかしい。
sun ya soさまの写真は、芸術的ですので、今後使用させていただきたいと思います。ありがとうございました。
レポート拝見しましたよ~。さすがですね。
私の稚拙な文章がお恥ずかしい。
sun ya soさまの写真は、芸術的ですので、今後使用させていただきたいと思います。ありがとうございました。
Posted by みらいもりやま21 石上 at 2010年07月30日 12:09
守山YEG会長の辻井です!講演内容をここまで分かりやすくまとめてくれて
脱帽です!これからも普通の日本人があまり知らないが実は世界で一流という会社を守山で紹介していきたいと思っています。
そういう観点で企業さんを選考していくとどうしてもアジア企業になるのです!
脱帽です!これからも普通の日本人があまり知らないが実は世界で一流という会社を守山で紹介していきたいと思っています。
そういう観点で企業さんを選考していくとどうしてもアジア企業になるのです!
Posted by レオンライ at 2010年08月04日 19:20
>レオンライさま
おぉっ!!会長御自ら、
ご訪問&コメントありがとうございます!
毎度のことながら、どこからどうやってこれほどの方を守山に招聘されているのだろう・・・と不思議に思っています。
是非是非、これからも有意義な講演をお願いします。
おぉっ!!会長御自ら、
ご訪問&コメントありがとうございます!
毎度のことながら、どこからどうやってこれほどの方を守山に招聘されているのだろう・・・と不思議に思っています。
是非是非、これからも有意義な講演をお願いします。
Posted by みらいもりやま21 石上 at 2010年08月04日 23:56