2010年08月16日
終末のフール
みらいもりやまは本日16日(月)、お盆休みをいただいております。
ということで、この3日間どこに出かけるでもなく、ダラダラと過ごしたので、
今夜は実家に帰って、「大文字の送り火」でも十数年ぶりに見物しようかと思っている石上です。
タイトルについてですが、最近読んだ伊坂幸太郎氏の作品。
2004年~2005年にかけて「小説すばる」に連載されていたものがまとめられ、
2006年3月に集英社から刊行、2009年に文庫化されており、
私はたまたま立ち寄った本屋で、集英社文庫の「ナツイチ」の一冊だったので購入しました。
伊坂氏は私と同じ1970年代生まれということで、昨今の人気作家の中でもかなり若手に分類されるのではないでしょうか。
私が彼を知ったのは、3作目の
「陽気なギャングが地球を回す」
刺激的なタイトルと装幀に魅せられ、伊坂という人を全く知らぬまま購入しました。
「ロマンはどこだ」
なんて渋い主人公の決め台詞があったりして
読んだ瞬間から、映画化されるだろうなぁと予感はしていました。
小説好きって、頭の中でイメージ(妄想)を膨らますもので、
好きな小説=好きな映画
にはまずなり得ないので、小説を読んで良かったなと思う作品に関しては、
基本的に、映画を見ないようにしています。
ただ、今回は主演が大好きな「大沢たかお」ってことで、見ちゃいましたけど・・・。
なぜ大沢たかお好きなのかといえば、約15年前、彼主演でテレビドラマ化されたおかげで、
沢木耕太郎「深夜特急」
という小説に出会えたからです。(同じコータローだ)
伊坂作品については、まだ半分くらいしか読んでいないのですが、
「アヒルと鴨のコインロッカー」
伊坂作品における私のお気に入りナンバーワンはほぼ間違いないです。
偶然でしょうが、大好きな村上龍の有名な小説のタイトルが入っていたのもよし。
あくまで私の好みであって、
他にも既に映画化されているのが7作品と飛ぶ鳥を落とす勢いの作家さんですから、
何を読んでも面白いのでしょうけど・・・。
最後に表題の
「終末のフール」
の紹介。
時代は現代。
舞台は「8年後に小惑星が衝突し、地球が滅亡するといわれ、パニックに陥った5年後(つまり滅びる3年前)の仙台のまち」
なんかややこしいですが、一度はパニックに陥り、略奪や殺人が横行したものの、5年も経って少しみんなが落ち着き、残りたった3年をどう生きるかということをテーマに8つの家族(あるいは独り)の過ごし方を追いかけています。
ノストラダムスの予言など、パニックまでには至らなかったけど、世紀末にちょうど20歳を迎える予定だった私自身も、十代のとき、地球の未来にそこはかとない不安を感じていたものです。
伊坂幸太郎氏がよく言われるのは
「現実に上手に嘘を交えた話ほどおもしろい」
なので、彼の小説に勧善懲悪のスーパーヒーローは出てきません。
本当にありそうでない話。
でも明日、自分の身に起こっても全然おかしくない。
以下、
「終末のフール」
において、私が一番気に入ったシーン
終末のフールの中の8つの短編のひとつ
「鋼鉄のウール」という話の中の一幕です。
地球が滅びることなど一切関知せず、キックボクシングの練習を続ける「苗場」というボクサーとそれを見る「ぼく」が主役です。
小惑星が落ちてくるなんて話がなかったとき、
雑誌の対談企画でインタビュアーである俳優が苗場に「明日死ぬって言われたらどうする?」と尋ねます。
それでも変わらず、ローキックと左フックを続けるという苗場を俳優は「明日死ぬのにそんなことするわけ?」と嘲笑います。
それに対して苗場の一言
「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」
「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
※集英社文庫「終末のフール」p220より引用
ということで、この3日間どこに出かけるでもなく、ダラダラと過ごしたので、
今夜は実家に帰って、「大文字の送り火」でも十数年ぶりに見物しようかと思っている石上です。
タイトルについてですが、最近読んだ伊坂幸太郎氏の作品。
2004年~2005年にかけて「小説すばる」に連載されていたものがまとめられ、
2006年3月に集英社から刊行、2009年に文庫化されており、
私はたまたま立ち寄った本屋で、集英社文庫の「ナツイチ」の一冊だったので購入しました。
伊坂氏は私と同じ1970年代生まれということで、昨今の人気作家の中でもかなり若手に分類されるのではないでしょうか。
私が彼を知ったのは、3作目の
「陽気なギャングが地球を回す」
刺激的なタイトルと装幀に魅せられ、伊坂という人を全く知らぬまま購入しました。
「ロマンはどこだ」
なんて渋い主人公の決め台詞があったりして
読んだ瞬間から、映画化されるだろうなぁと予感はしていました。
小説好きって、頭の中でイメージ(妄想)を膨らますもので、
好きな小説=好きな映画
にはまずなり得ないので、小説を読んで良かったなと思う作品に関しては、
基本的に、映画を見ないようにしています。
ただ、今回は主演が大好きな「大沢たかお」ってことで、見ちゃいましたけど・・・。
なぜ大沢たかお好きなのかといえば、約15年前、彼主演でテレビドラマ化されたおかげで、
沢木耕太郎「深夜特急」
という小説に出会えたからです。(同じコータローだ)
伊坂作品については、まだ半分くらいしか読んでいないのですが、
「アヒルと鴨のコインロッカー」
伊坂作品における私のお気に入りナンバーワンはほぼ間違いないです。
偶然でしょうが、大好きな村上龍の有名な小説のタイトルが入っていたのもよし。
あくまで私の好みであって、
他にも既に映画化されているのが7作品と飛ぶ鳥を落とす勢いの作家さんですから、
何を読んでも面白いのでしょうけど・・・。
最後に表題の
「終末のフール」
の紹介。
時代は現代。
舞台は「8年後に小惑星が衝突し、地球が滅亡するといわれ、パニックに陥った5年後(つまり滅びる3年前)の仙台のまち」
なんかややこしいですが、一度はパニックに陥り、略奪や殺人が横行したものの、5年も経って少しみんなが落ち着き、残りたった3年をどう生きるかということをテーマに8つの家族(あるいは独り)の過ごし方を追いかけています。
ノストラダムスの予言など、パニックまでには至らなかったけど、世紀末にちょうど20歳を迎える予定だった私自身も、十代のとき、地球の未来にそこはかとない不安を感じていたものです。
伊坂幸太郎氏がよく言われるのは
「現実に上手に嘘を交えた話ほどおもしろい」
なので、彼の小説に勧善懲悪のスーパーヒーローは出てきません。
本当にありそうでない話。
でも明日、自分の身に起こっても全然おかしくない。
以下、
「終末のフール」
において、私が一番気に入ったシーン
終末のフールの中の8つの短編のひとつ
「鋼鉄のウール」という話の中の一幕です。
地球が滅びることなど一切関知せず、キックボクシングの練習を続ける「苗場」というボクサーとそれを見る「ぼく」が主役です。
小惑星が落ちてくるなんて話がなかったとき、
雑誌の対談企画でインタビュアーである俳優が苗場に「明日死ぬって言われたらどうする?」と尋ねます。
それでも変わらず、ローキックと左フックを続けるという苗場を俳優は「明日死ぬのにそんなことするわけ?」と嘲笑います。
それに対して苗場の一言
「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」
「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
※集英社文庫「終末のフール」p220より引用
Posted by みらいもりやま21 at 14:27│Comments(8)
│つぶやき
この記事へのコメント
「来年以降、日本人の平均寿命がどれだけ短くなるのか不安で仕方ない」という石上さんへ
不明長寿者が続々判明していることからの不安でしょうか?・・・今の算出法では殆ど変わらないそうです。
それより・・・「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」
「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」・・・という一言に共鳴している貴方には平均余命とは無縁だと思いますが。
まあ貴方の今の生き方なら「残り少ない命」と言われたら無念だと思いますが。・・・頑張って生き抜いて下さい。
不明長寿者が続々判明していることからの不安でしょうか?・・・今の算出法では殆ど変わらないそうです。
それより・・・「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」
「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」・・・という一言に共鳴している貴方には平均余命とは無縁だと思いますが。
まあ貴方の今の生き方なら「残り少ない命」と言われたら無念だと思いますが。・・・頑張って生き抜いて下さい。
Posted by 鉄人 at 2010年08月17日 13:44
>鉄人さま
深読みコメントありがとうございます。
「平均余命とは無縁」・・・大正解!
「『残り少ない命』と言われたら無念」・・・残念っ、不正解!
私は十数年前から、「明日死んでも悔いのない人生」を標榜していますので、もし『残り少ない命』と言われたら、喜んでその運命を受け入れる覚悟ができています。
これは、強がりでも負け惜しみでもなく、信長の好きだった「敦盛の舞」にもあるように、「たった50~80年の人生でできることなんてたかが知れているのだから、今を精一杯生きることができれば、いつ死んだとしても何も悔いることなどないではないか」という私なりの哲学なのです。
それが正しいか正しくないかは別として、ラオウのごとく「我が生涯に一片の悔いなし!」って、言えるのが私の強みです。
深読みコメントありがとうございます。
「平均余命とは無縁」・・・大正解!
「『残り少ない命』と言われたら無念」・・・残念っ、不正解!
私は十数年前から、「明日死んでも悔いのない人生」を標榜していますので、もし『残り少ない命』と言われたら、喜んでその運命を受け入れる覚悟ができています。
これは、強がりでも負け惜しみでもなく、信長の好きだった「敦盛の舞」にもあるように、「たった50~80年の人生でできることなんてたかが知れているのだから、今を精一杯生きることができれば、いつ死んだとしても何も悔いることなどないではないか」という私なりの哲学なのです。
それが正しいか正しくないかは別として、ラオウのごとく「我が生涯に一片の悔いなし!」って、言えるのが私の強みです。
Posted by みらいもりやま21 石上 at 2010年08月17日 16:36
はじめまして石上さま。
いつも楽しいブログをありがとうございます。
偶然ですが、最近雑誌の『井坂作品特集』を読んで、その特集の中で一番人気だった『死神の精度』という作品を読んでみようと考えていたのですが、この『死神の精度』は読まれましたか?
いつも楽しいブログをありがとうございます。
偶然ですが、最近雑誌の『井坂作品特集』を読んで、その特集の中で一番人気だった『死神の精度』という作品を読んでみようと考えていたのですが、この『死神の精度』は読まれましたか?
Posted by 守山市民♀ at 2010年08月17日 17:00
>守山市民♀さま
コメントありがとうございます。
どなたかは存じませんが、守山市民さまから「楽しいブログ」といわれるほど嬉しいことはありません。本当に死んでしまいたいくらいです。
「死神の精度」読みました。
今ちょうど手元にあります。文春文庫で、後の方に2008年2月10日第1刷とあるので、その頃に購入して読んだのでしょう・・・。
中身はほとんど覚えていませんが、金城武主演で映画化されるというのに、少し違和感を感じたのを覚えています。
とにかく、伊坂作品読んでみてください。
「死神の精度」「グラスホッパー」「フィッシュストーリー」「終末のフール」
なら、今、手元にあるので、いつでもお貸ししますよ。
コメントありがとうございます。
どなたかは存じませんが、守山市民さまから「楽しいブログ」といわれるほど嬉しいことはありません。本当に死んでしまいたいくらいです。
「死神の精度」読みました。
今ちょうど手元にあります。文春文庫で、後の方に2008年2月10日第1刷とあるので、その頃に購入して読んだのでしょう・・・。
中身はほとんど覚えていませんが、金城武主演で映画化されるというのに、少し違和感を感じたのを覚えています。
とにかく、伊坂作品読んでみてください。
「死神の精度」「グラスホッパー」「フィッシュストーリー」「終末のフール」
なら、今、手元にあるので、いつでもお貸ししますよ。
Posted by みらいもりやま21 石上 at 2010年08月17日 22:18
石上さま。
お返事ありがとうございました。早速読みたいと思います。
『滋賀まるごとカレー』も食べてみますね。
お返事ありがとうございました。早速読みたいと思います。
『滋賀まるごとカレー』も食べてみますね。
Posted by 守山市民♀ at 2010年08月18日 13:58
> 守山市民♀さま
こちらこそありがとうございます。
今後ともご愛読のほど、宜しくお願い致します。
こちらこそありがとうございます。
今後ともご愛読のほど、宜しくお願い致します。
Posted by みらいもりやま21 at 2010年08月18日 14:14
僚さま
福でございます。わたくしで良ければそっと膝に寄り添ってなめなめした後、お酌でもさせて頂きますわぁ・・・ウッフン(笑)
福でございます。わたくしで良ければそっと膝に寄り添ってなめなめした後、お酌でもさせて頂きますわぁ・・・ウッフン(笑)
Posted by 福 at 2010年08月18日 20:32
Amazon shopping center(本屋)さんからお届します。下記表より小説家集の先頭文字をクリックして下さい。作者の項目へジャンプします。殆どの作家(小説100,000冊)以上を掲載しております。訪問して頂けたら幸いです。
Posted by 秦です at 2010年08月19日 21:33