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2010年10月14日

NPO東海道・吉原宿

フジヤマ・スシ・ゲイシャ
外国人が、憧れる日本の文化。
私は日本人としてこれらの文化を心から愛し、誇りに思っています。
富士山には過去2度スピード登頂(3時間半程度)に成功しています、石上です。


視察してから、はや2週間の日々が過ぎてしまいました・・・。


その富士山が日本一キレイに見えるまち富士市
富士市は浜松市、静岡市に次ぐ、静岡県人口3位(約25万人)
40数年前の合併以来、中心市街地は、富士駅中心(旧富士市)、吉原本町駅中心(旧吉原市)の2エリアに分かれています。
今回は、旧東海道沿いにあった、かつての東海道吉原宿「吉原商店街」を訪れました。

東海道本線吉原駅から岳南鉄道という超マイナー(失礼)な路線に乗り換えます。

NPO東海道・吉原宿
驚愕の21:32終電・・・岳南鉄道



NPO東海道・吉原宿
マニア垂涎の1両編成車両



NPO東海道・吉原宿
車内吊り広告になんと「月極駐車場」の募集が・・・



NPO東海道・吉原宿
切符は自動改札泣かせの厚紙




NPO東海道・吉原宿
目的地 吉原本町駅





NPO東海道・吉原宿
四条通を思い起こさせる、広い道路幅と立派なアーケードの商店街



※注意!!
続きを読むをクリックするなら最後まで読んで下さいねicon06

思えばきっかけは、ブログとツイッターと一本の電話でした。

宇都宮で既に1,500名規模に膨れ上がった、超巨大合コン、宮コン
あるとき、「宮コンをモデルに、今年2月、150名で合コンを行ったまちがある」ことを知りました。

インターネットでたどりついた先が
「まち系NPOダイヒョー日記」

イベント名はYWGP(吉原ワクワク合コンプロジェクト)(詳しくは当ブログ3月15日の記事参照)
※後のGTRのモデルとなったのです。

ブログの作者は、NPOの代表佐野荘一という方。

早速、ツイッターでコンタクトを取りました。
「一度、電話でお話を聞かせてくださいませんか?」
佐野氏「いつでもいいよ~。」
初めて、電話をかけた会ったこともない私に、1時間以上も色々な話を、熱く聞かせて下さいました。
彼に一度、会ってみたい、そして彼の活動を見てみたいと強く思ったのです。



佐野氏が現在、所属するのは2003年に自身が立ち上げた、NPO東海道・吉原宿
昨年、中小企業庁「新・がんばる商店街77選」に、吉原商店街が選出され、経産省から、商店街の代表として表彰を受けられました。

7年間に渡る様々な取り組みの成果で、現在商店街にある130店舗のうち、空き店舗率は7%を切っているそうです。



そんな佐野氏にも紆余曲折があったそうで・・・

彼はかつて商店街の青年部副会長として、商店街活動を必死に頑張っていたそうです。

10年以上も前に以下のような取り組みをなされていました。
・ナイトバザール
通常19時閉店のところを2時間ほど、営業時間を延長し、商店街で夜間イベントを行う。
このホームページを見ればわかるように、2002年12月に第70回を数えています。
これだけの継続回数も凄いし、この時代に既に独自ドメインを取り、頻繁にホームページを更新している商店街ってなかなかないと思います。
しかし、協力しない店舗や、文句ばかりをいう店舗も多く、この70回を最後にナイトバザールは消滅します。
・ポイントカード
・ミニコミ誌の発行
などなど
現在ではどこの商店街でも当たり前の取り組みですが、
10年以上前に実施されていたということは、当時の佐野氏らの努力、活躍が目に浮かぶようです。



いつしか、佐野氏は以下のように考えるようになったそうです。

さびれた商店街の活性化を、さびれた商店街の人たちが考えていても解決しない。
また、さびれた商店街の中には明らかな温度差が存在する。
商店街活動を頑張る者がいる一方、足を引っ張るばかりの者もいる。
そもそも、「まち(商店街)の活性化」=「個店の活性化」である。


そう思った、佐野氏は商店街活動から、しだいに身を引くようになりました。

当時、一緒に活躍していた、吉原宿商店街青年部長だった杉山氏も同様に、商店街活動ではなく、自らの商売に力を入れるようになったところ、杉山氏の店「すぎやまフルーツ」はマスコミにも多数取り上げられる超有名店となったのだとか(笑)

NPO東海道・吉原宿
すぎやまフルーツ(撮影時は、出張の為、臨時休業)


もうすでに、商店主が片手間で商店街の活性化をやれる時代ではない。
それだけを考え、企画・実行できる専従の人員が必要である。


また、商店街振興組合の中では、「多数決の論理」が障害で、どうしても思うように活動できない。

そんな佐野氏が、独自にまちづくり活動を行うべく、2003年に設立したのが、NPO東海道・吉原宿なのです。

将来必ず、資金が必要になると考えていた佐野氏にとって、借入れを起こすには法人格である必要があったのです。



設立から7年。NPO東海道・吉原宿は様々な活動に取り組んでいます。

NPO東海道・吉原宿
吉原のカリスマ、ソーイチさんこと、佐野荘一氏近影

以下、佐野代表から聞いた事例の一部。



「ストリートアート・スタジアム」 7年前頃

全国から公募したアーティストが、空き店舗のシャッターに絵を描く。

NPO東海道・吉原宿
現在、商店街に20ほどある

「イヤイヤやる奴がいたら『アート』じゃない!」
をモットーに、お願いしてやってもらうというスタンスは完全に排除した。

・制作期間はアーティストに任せる。
・ペンキとハケだけ、こちらで用意する。
・商店街までの旅費、そして活動期間中の滞在費は全て自腹。

過酷な条件にも関わらず、埼玉、新潟、宮城と驚くほど遠くからの応募が多数あった。


このシャッターアート第一作を手がけた、「鈴木雄一郎」という人物が、東海道吉原宿のアートディレクターである。
後に、彼は、静岡県内のグラフィックデザイナーを対象にカテゴリー別に、仕事作品を公募し審査する「グラパ賞」において、グランプリ・準グランプリを総ナメにするという快挙を成し遂げた。

NPO東海道・吉原宿
この店のロゴマークがグランプリ受賞作



NPO東海道・吉原宿
店主の名である漢字の「中川」を表している。



ある女性は、一ヶ月も滞在し、シャッターアートを完成させた。
彼女は新婚まもなかったそうで、それが原因で離婚に至ってしまった・・・。


NPO東海道・吉原宿

一番大きな効果として・・・
空き店舗のシャッターに勝手に描くわけではない。
許可を得るため、不在地主化しているオーナーに声をかけるきっかけとなった。
そこで、空き店舗オーナーの商店街活動への理解・協力度が把握できた。

このときの繋がりがきっかけで、現在に至るまで、シャッターアートを施した空き店舗から、どんどん埋まっていっている。(出店希望者が現れたときに、すぐに連絡が取れるから)





「吉商本舗」6年前~現在継続中

地元商業高校生に部活動(商業ビジネス部)の一環として、商店街の空き店舗を利用した、駄菓子屋の疑似商売体験をしてもらう。商品の選定、仕入れから、お店の装飾、レジ打ちまで、全て任せている。



NPO東海道・吉原宿
店内の様子


1年目の募集時、4名が入部。
この4名はスキル・モチベーションともに相当高かった。
このときの部長が、現在、NPO東海道・吉原宿理事を務める杉本氏である。
(空き店舗対策と同時に、「ひとづくり」を行っているということ)

現在、部員は20名。創立から現在まで、部員は全て女性のみである。

NPO東海道・吉原宿


毎月店内でイベントを開催している。
児童クラブなどを対象に、買い物体験販売(レジ打ち)体験など。
女子高生が小学生や幼児に教えている光景はなかなかいいものである。




病院などにも出張販売を行っている。
高校生がボランティア活動などに参加しても、「お年寄りを相手に何を話せばよいかわからない」となってしまいがちだが、物を売ることで、容易にコミュニケーションをはかれるのだ。

店舗を改修するとき、資金がなくて困った。そのため、内部造作をつくるため、色々なところから資金を引っ張って、極力手作りでお金をかけずにやった。
それでも、問題は残った。

例えば、重すぎるガラスのドア(元々ブティックだった)。

小さな子どもやお年寄りだと開けられないほどの重量。

しかし、ドアをつけかえる程の資金がない・・・
頭をかかえる佐野氏に、ある女子高生がこういった
「私たちが開けてあげればいいじゃない」
涙が出るほど感動したそうな。

やる気のない子はいない。
「私たちのお店」という意識で頑張っている。
自分たちがいない間に、物の配置が変わっていたら、怒られる。
誰一人やらされている感は持っていない。

高校生らにとっていいのは、知っている大人が増えること。
昔はどこのまちにでもあった、近所のおじさん、おばさんとの繋がり。

親と先生以外の第3の大人の知り合いが増える。

彼女たちから他人に言えない、先生に対する愚痴などをよく聞いている。





「Y-mix(吉原まちなかチャレンジオフィス)」6年前~現在継続中

レンタルオフィス(オフィスをシェアする)事業。

ここを本拠とする「東海道・吉原宿」を含むNPO、3法人のよいたまり場となった。

ここで、出てきたアイデアが次々実現されていった。

会合は毎晩のように深夜にまで及んだ。

小さい冷蔵庫をおき、その中には、酒の量販店で買ってきた、飲料を保管しておいた。
集まる仲間に定価で購入してもらい、その差額の収益が、コピー機のレンタル代程度にはなった。




「カフェプレアーテ」(YWGP参加店)3年前~現在も営業中。

NPO東海道・吉原宿

プレアーテとはカンボジア語で、「太陽」の意味。

チャレンジショップとして始まった。
当初物販だったが、現在は飲食店。NPO東海道・吉原宿直営
まちづくりのキーマンたちが夜な夜な集まり、情報交換をできる場所になっている。
⇒伊丹でいう、クロスロードカフェ

シブヤ大学をモデルにしたヨシワラ大学などにも取り組んでいる。



夢にまで見たプレアーテなう。

NPO東海道・吉原宿
吉原商店街全体で、B級グルメ「つけナポリタン」売り出し中!


「コミュニティf」2年前~指定管理者として

NPO東海道・吉原宿

富士市民活動センター
東海道吉原宿が指定管理者として入っている施設。
市民活動団体を支援する。
NPO法人の設立サポートなども積極的に行っている。
以前、1万人程度だった利用者が、2.5倍以上に・・・。
センター長は、33歳の若手、小池よしはる氏。
この視察当日(9月30日)を持って、勇退(ステップアップのため)。




「YO-LABO(就労支援施設商品販売)」3年前~現在も継続中
NPO東海道・吉原宿
店内の様子

「チャレンジカフェSUKI」・・・現在はKICKERS(YWGP参加店)というスポーツバー

「yPod(ヨシワラ・パフォーマンス・オブ・ドリームズ)」3年前~継続中・・・まちのど真ん中をクラブ化するイベント
NPO東海道・吉原宿
会場である、駐車場

「YWGP(吉原ワクワク合コンプロジェクト)」今年2月から、既に3度開催・・・まちなかの多店舗を貸切る150対150の合コン
NPO東海道・吉原宿
会場のひとつ「Bar KAMIKAZE」・・名前がよい


「長さん小路ができたョ!全員集合」
NPO東海道・吉原宿
ゆかりの深い、いかりや長介氏にちなんで


「フジパク(富士山博覧会)」2011年2月11~27日開催予定・・・地域ごとのキラリと光る魅力をしってもらえる体験型プログラムを、一定期間同時多発的に開催するイベント(まちゼミに非常に近い)

「その他」
富士TMOが行っている「新規開店者支援事業」に応募しようとする方への、計画書の書き方~設計~施工までも、積極的にアドバイス支援している。これからの開店予定も併せると、既に6店の新規出店の実績がある。
NPO東海道・吉原宿
その制度を利用してできた一号店「東海道 表富士」

数え切れないほどのソフト事業。
しかもそのほとんどが、継続し効果を上げている(効果を上げているから継続しているともいえる)。
圧巻でした。


最後に・・・

かつて、あの「月刊ガバナンス」(行政職員の方、この雑誌を知らないと恥だそうですよ)の巻頭カラーを飾った佐野氏のこの一言を紹介したいと思います。

「やりたい奴がやる」が商店街を変える


そして、事務局長である三浦氏(36歳)の言葉・・・
「ウチは〝面白いことがしたい〞という人の集まり。企画を出し合って、ピンと来たら、実現させるために全力で協力していく。足の引っ張り合いは絶対にしませんね」
『月刊ガバナンス2007/4/28号』より引用


やる気のマネジメントの大切さを強調されていました。

私が凄いなぁと実感したのは、彼を慕い、集まってくる仲間たち
若く、パワーがあふれています。

NPO東海道・吉原宿
視察終了後、カフェプレアーテにて、小池センター長のお別れ会に参加





そして、何よりもその女性の多さ・・・。
ギガント羨まシスです。

NPO東海道・吉原宿
女子に囲まれる小池センター長


まちづくりにおいて、絶対に欠かせない女性の意見、考え方

佐野氏は、その日常において、女子高生に囲まれ、美女たちに囲まれ、仕事をしているのです。

しかも、特筆すべきはその若き美女たちの
吉原を愛する心の強さ

考えてみれば、この東海道・吉原宿の初期メンバーたちは、既に7年ほど、「まちづくり」に携わっているわけで、私より若くても、大先輩なんですよね。

彼女たちから、いただいた言葉が、胸に鋭く突き刺さりました。

「石上さんって、本当に守山のまちを愛しているの?」

確かに・・・
あなたたちには、気持ちはおろか、知識も経験もすべて劣ります。
それでも、今までは「まぁ石上くんはまだ若いから、これからだね。」なんていわれて
「ヘヘヘ・・・」ですませていたのに。

井の中の蛙でした。

知識・経験は負けても、気持ちや若さでは負けないぞとやってきたつもりだったのに・・・kao_20

チキショー、いつか、「守山(石上)やるじゃんっ!」といわせてやるぅぅぅぅkao_18

NPO中山道・守山宿つくっちゃおうかな・・・。


P.S.
佐野代表、
NPO東海道・吉原宿の皆様、
及び、チームサノの皆様、
本当にありがとうございました!

凄くいい勉強になりました。
そして何より、非常にいい刺激をいただきました。

M事務局長、AKB48最高でした!
私も次は一緒に歌えるよう、精進します。

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Posted by みらいもりやま21 at 19:24│Comments(5)講演・研修レポート

この記事へのコメント
ええ名前の商店街やな~
(^-^)
Posted by よしよしタキシスよしよしタキシス at 2010年10月14日 21:29
「吉原」の「よし」は「士」それとも「土」のどちら?・・・・「吉原本町駅の文字は「土」やけど・・・チョット気になる。教えてケロ。
Posted by 鉄人 at 2010年10月14日 23:32
石上マネージャー  いい勉強してきたねー 活性化はハードじゃないんだねー ハートなんだねー
守山でも真似してできることあるんじゃない?
Posted by とある社長 at 2010年10月15日 14:22
ぼくも自分の街でいい経験をさせていただきました。

その様子は後日僕のブログにアップします・・・笑
Posted by M事務局長 at 2010年10月15日 15:10
>よしよしタキシスさま

ですな


>鉄人さま

言われてみるとどうなんでしょう・・・。
ホームページとかは、士で統一されているようですが。


>とある社長さま

『活性化 ハードじゃなくて ハートだぜ』
うまいっっ!


>M事務局長さま

ブログ楽しみにさせていただきます!
Posted by みらいもりやま21 石上 at 2010年10月15日 17:00
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