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2011年03月22日

「四万十ドラマ」畦地履正氏

私が10年前に書いた小説には、中学生が国会でスピーチする場面がある。「この国には何でもある。本当にいろいろなものがあります。だが、希望だけがない」と。

今は逆のことが起きている。避難所では食料、水、薬品不足が深刻化している。東京も物や電力が不足している。生活そのものが脅かされており、政府や電力会社は対応が遅れている。

だが、全てを失った日本が得たものは、希望だ。大地震と津波は、私たちの仲間と資源を根こそぎ奪っていった。だが、富に心を奪われていた我々のなかに希望の種を植え付けた。だから私は信じていく。

危機的状況の中の希望村上龍氏のニューヨーク・タイムズへの寄稿文)より

また、「希望の国のエクソダス」や「半島を出よ」、そして「5分後の世界」を読みたくなった、石上です。





さて、先日、またもや凄い方に出会えました。


株式会社四万十ドラマ代表取締役 畦地履正(あぜちりしょう)さん。


「四万十ドラマ」畦地履正氏

ホームページによれば、彼は現在46歳。
四万十町に生まれ、農協勤務を経て、平成6年、当時第3セクターだった「株式会社四万十ドラマ」に公募で入社。
(※偶然ですが、29歳で公募により3セクに入社という経歴は、私と全く同じです。)

その後平成19年、道の駅「四万十とおわ」の指定管理を経て、株式会社四万十ドラマは、市から株式を買い取り、完全民営化。
そこで、畦地さんは代表取締役に就任、現在に至ります。


株式会社四万十ドラマは、考え方をつくる会社。

コンセプトは
ローカル(ネットワーク)
ローテク(1.5次産業、発着型産業)
ローインパクト(環境)
簡単にいうと、一次産業者である、生産者さんをとても大切にされているということ。

例えば栗を例に挙げると・・・

「四万十ドラマ」畦地履正氏

「四万十ドラマ」畦地履正氏

四万十の栗は、糖度が18~20。これは、メロンより甘いくらい(=クリとしてはかなり甘い)。しかも、全国平均(18g)に対して、約25gと、2割以上も大きい。
この栗を全国に売り出します。
それもただ単に、安売りするのではダメ。
「我々は商品を買ってください、とは絶対に言いません。その背景を買ってください。」
それはすなわち、「生産者」「つくりかた」「おもい」の3点を理解してもらい、買ってもらうということ。
現場を知らない人には絶対にモノは売れない、との信念から、バイヤーに必ず四万十まで足を運んでもらうそうです。

伊〇丹や成城〇井のバイヤーまでもが、商品を仕入れるため、四万十に訪れるというのだから、驚きです。


「四万十ドラマ」畦地履正氏

瓶入りの栗が一つ2,500円、写真左のロイヤルミルクティーは1本250円と少々値がはるのですが、通販サイトで売り切れるほどの人気商品。



栗だけではない、様々なアイデア商品を手がける、畦地さん。

中でも、大ヒット商品の一つがこれ。

「四万十ドラマ」畦地履正氏


「四万十ドラマ」畦地履正氏

新聞バッグ

あるパートのおばちゃんの発想で商品化に成功したそうですが、アメリカのバッグショーで、ルイヴィトンなどの一流ブランドを押しのけ、絶賛されたといいます。
現在、特許出願中で、作り方をレシピにして売り出しておられます。
また、個人でも作って売ることのできる権利を「インストラクター」と資格化し、四万十を訪れた人のみ、1泊2日3万円で取得することもできます。

全てが循環型ビジネス
生産者と消費者をうまく結びつけることで、ありがちな価格競争に巻き込まれることなく、生産者は無理なく商品を作り出せます。
消費者も、その背景(生産者、つくりかた、おもい)を知ることで、本当にいいものを安心して購入することができます。
そして消費者は背景を知ることで、四万十を是非訪れて見たいという気になります。


確実に現在、何もなかった(あったが、見せれていなかった)四万十を訪れる観光客は増えてきています。
そして、その中から(あるいは地元から)、一次産業に従事したいという若者が現れはじめているのです。

若者を育てるため、様々な取組みをされています。
内閣府の委託事業「地域密着型インターンシップ研修」であったり、
起業家支援「おまん何がしたいがぜよプロジェクト」



そして、指定管理を受けた道の駅「四万十とおわ」
通行量1,000台/日、程度の田んぼのど真ん中に、周囲の反対を押し切って作った施設。
たった3年で、現在30万人/年もが訪れているのです。


彼の話は、たった1時間程度でしたが、もっともっと話を聞きたいという思いがとまりません。
そしてそして、彼の故郷「四万十」を訪れたくて、たまらなくなってしまいました。
近い将来、必ず訪れることになります。
そのときはどうか宜しくお願いします。

リショーさん、素晴らしい講演をありがとうございました。


リショーがゆく
※早速、守山のことを取り上げてくださっています!
こまっていない(せっぱつまっていない)まち「守山」(笑)


リショーさんのツイッター

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Posted by みらいもりやま21 at 08:27│Comments(3)講演・研修レポート

この記事へのコメント
(株)四万十ドラマの畦地社長のインパクトのあるお話、非常に参考になりました。石上ブログには書いていませんが、私もパネラーとして参加させていただきました。お忙しい中、宮本市長、YEGの今村さん、会議所の鈴木さんもパネラーとして参加していただき、四万十に負けじとささやかながら対抗し、守山の主張をさせていただきました。県立大学の印南先生の絶妙な司会にのせられてつい熱くなりました。
畦地さんのお話はむしろ私の本業として非常に参考となりました。
物づくりの基本を教えていただいた気がします。
ただ、守山とはだいぶ地域ブランド創出の手法も違うように思いました。(当然のことながら・・・・)
守山は外部からみると何も困ってないように見えるんですかね。誰かがそんな説明をしたのか知れませんが、確かに人口も増え豊かではあるんですが、決して平和ボケしている訳ではなく結構みんなには危機感はありますよね。特に商業者はみな必死です。

すべて民間で頑張っておられる四万十ドラマさんと比べ、われわれは
市と会議所とMM21さらに市民一体となったまちづくりという違いがあるように思いました。

畦地さんありがとうございました。四万十の栗おいしかったです!
Posted by とある社長 at 2011年03月22日 10:20
 見えるんでしょうけど、守山の人にはわからないでしょうねぇ。。。だからこそ貴重な意見。貴重な意見を言いやすい環境づくりも大切。
 ワークショップ、地域の光、、、どんなだったでしょうか?
 守山の特長はいろいろありますが、、、。



 それと冒頭、「危機的状況の中の希望(村上龍のニューヨーク・タイムズへの寄稿文)より」の件は、まさしくそういう分析・考察をした本があってちょっと話題。震災直後に小西康陽さんがツイッターでつぶやいていたのを見て知りました。非公式RT。
「非公式RT。これも一読の価値あり。単なる書評としてでなく。
 http://book.asahi.com/review/TKY201102080172.html
8:47 PM Mar 13th webから」



■災害ユートピア―なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか [著]レベッカ・ソルニット[評者]柄谷行人(評論家)
 [掲載]2011年2月6日
 http://book.asahi.com/review/TKY201102080172.html
 http://www.amazon.co.jp/dp/4750510238/


 まだ書評しか読んでませんが、話題の書なので、以下のような理論を念頭に、これから目を通しておこうと思っています(よくあるゲゼルシャフト・ゲマインシャフトの話だったら残念ですが、、、)。
cf.
 http://news.livedoor.com/article/detail/5245912/
 http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51301036.html
Posted by とあるGikan at 2011年03月22日 12:51
皆さまお疲れさまでございました。 私は…とても楽しく有意義な時間を過ごさせていただき、心より感謝いたしております。

畦地社長の考え方、本当に興味深く、何でも上手に商売に結び付けてゆく積極性、それを確実に行動に移してゆく着実さ、灯台元を明るく照らすための…客観性など、まさに私たちも見習わねばと思うことしきりです。

もちろん…地域ごとの問題点はあり、彼岸の事例は、必ずしも此岸でもと…同じように上手くはゆかないかもしれませんが

「知らぬより 知りつつ行かむ ホトトギス」

「畦地師の 話せる事例に 置く知恵の 広きを見れば 吾ぞ真似てみむ」

「邪馬台国近江説」に最大限反映したいと感じた…私でした。
Posted by sun_ya_so at 2011年03月22日 18:19
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