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Posted by 滋賀咲くブログ at

2014年01月15日

映画「永遠の0(ゼロ)」

おはようございます。この時期は、毎年祭りの後遺症(筋肉痛、擦り傷)に苦しむ石上です。





さて、以前からこのブログをご愛読いただいている方はよくご存じだと思いますが、私は百田尚樹さんの大ファンです。
もはや信者といっても過言ではありません。
そのきっかけになったのが、この・・・・2010年10月05日の記事、そう「永遠の0(ゼロ)」原作を読んでからなのです。
先日テレビで地上波初放送された「のぼうの城」もそうでしたが、原作が好きになってしまうと、映画館に行ってガッカリするのが怖くて結局鑑賞できないことが多々あるのです。
で、公開後すぐに見に行けなかったのですが、感性が近い伊丹のマダムをはじめとして、多くの方が絶賛しているのを聞いていってまいりました。
以下、ネタバレ含みますので、まだご覧になっていない方は是非映画館に足を運んでから、お進みください。



私は色々な映画を見てまいりましたが、上映中にこれだけ「すすり泣き」を聞いたのは生まれて初めてです。
それはラストシーンのみのことではなくて、全編通じてです。
私なんかも、原作を読み込んでるもんですから、最初のシーンでラストシーンが想像できてしまって、いきなり涙が出ました。
で、後世の戦友が宮部を「臆病者!」と罵っているシーンでまた涙(宮部の真実を知っているので)。
すすり泣くのは男としてカッコ悪いので、上映中、ずっと涙も鼻水も垂れ流しっぱなしでした。


私が気になっていたのは、3年ちょっと前のブログ記事でも書いた、
現代日本の若きジャーナリストが「特攻」について洗脳されていたとか、狂信者だったとか言い放ったシーン。
原作では物語冒頭のこのシーンが、映画では終盤に変えられていました。
主人公が参加した合コンで、友人が上のようなことを言うのに対して、主人公は激高します。
原作でははっきりと「あの大戦を引き起こしたのは、新聞社(ジャーナリスト)だ」と書かれていますが、映画ではマスコミ批判はありませんでした。そこはいろいろと大人の事情もあるでしょう。
原作とは違い、老人ではなく主人公に激高させることで、何も知らない(知ろうともしない)、自分たち世代、そしてつい最近までの自分自身に腹が立っているのが良く表現されていてよかったのではないでしょうか。
ここは原作者、脚本家に共通する若者への強烈なメッセージと受け止めました。



映画らしく圧巻だったのは、やはりラストシーン。
大東亜戦争開戦当初は、全世界を震撼させた最強戦闘機「ゼロ」も資源不足の日本において、改良が追い付かずすっかり旧型となり、一対一の空戦はもちろん、捨身の特攻においても、敵艦まで辿り着けるのは至難の業となっていきます。

そんな描写の後、ラストシーンでは、恐ろしいまでの艦砲射撃の弾幕をかいくぐり、米艦に一機のゼロが接近します。
しかもそのゼロは、五二型(1943年4月)ではなく、旧型の二一型(1940年7月)。
米軍からすれば、旧時代の戦闘機に何ができる・・・とタカをくくるくらい、当時の戦力、技術力には差があったはずです。

誤算だったのは、この二一型を操るパイロット(主人公)の技量。
物語途中で伏線として出てくる「真っ直ぐ飛んでいるように見せかけて、水平に滑っている」という技術と、海面すれすれを飛ぶ技術(これにより対空砲があたりづらくなる)を駆使して、敵艦に急接近します。

そのとき(これが最初=ラストシーン)米軍人が恐怖を交えて
「ゼロだ!ゼロが近づいてくる」
と狼狽えるのです。
これほど胸のすくシーンがあるでしょうか。
映画の中で、日本軍が米軍に恐怖どころか、打撃を与えるシーンは他に全くないのです。
唯一の勝利であった「真珠湾」についても、主人公が直後に「空母がいなかった。失敗だ」と呟いています。

途中、命をかけた特攻がいとも簡単に敵艦に辿り着けず、落とされるシーンで、見ている者すべてが「かつて日本はこれほどまでに無理な戦争をしかけていたのか・・・」と心を痛めたはずです。


そして最後の最後に敵艦真上に到達し、急降下をしかける主人公の表情が全てを物語っています。
あれが「洗脳」されている表情でしょうか、「狂信」者の表情でしょうか。
彼は信じ切っています。
自分の代わりに生き残って、日本の為に頑張ってくれる仲間たちを。
自分の死後、妻や娘を大切にしてくれる仲間たちを。
そして自分の死後、発展していく日本を。

亡くなっていった彼らは極めて冷静でした。
とんでもない練度(それを得るためには常人では考えられない知識、体力、精神力が必要でした)と、最後の最後まで冷静に職務を遂行する意思がなければ、達成できなかったのです。
これは決して宗教的なものではありません。

たった半世紀と少し前にこれだけ素晴らしい先人がいたのだと、
そして彼らの犠牲の上に今の日本の繁栄があるのだと、
もっともっと正しく我々世代が理解し、後世に語り継いでいかねばならないということを教えてくれる、
本当に素晴らしい原作であり、映画だと思います。
  

Posted by みらいもりやま21 at 09:38Comments(0)つぶやき