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2010年05月15日

100円商店街の魔法

最近はパソコンを叩けば、どんな情報も手に入ってしまうので、どんどん読書の習慣が減ってきて危機感を持っています。
が、T技監のススメもあり、久々に良い本に巡りあえました。まだ読んでない方、必読です!!

100円商店街の魔法
100円商店街の魔法

私も魔法に取り憑かれました。



筆者は齋藤一成

彼は現在35歳、山形県新庄市役所に勤める公務員。
同時に特定非営利活動法人 NPO AMPの理事長も務められています。

この2足のわらじを履いているから彼だからこそ、言えることがあります。
結構、刺激的ですが、文中から少しだけ引用したいと思います。

「公務員は怖がっているのだ。お金をもらって地域のことをやっている職員と、お金などもらわなくても地域のことをやる人間、そのどちらが真の公務員としての資質が高いか見破られそうで。能力の問題ではない、資質の問題なのだ。」



大成功した、自ら企画したイベントを終えて・・・

「絶賛され、高い評価を得た全国民舞パレード。そのパレードが通過するまでは、車道を真ん中に挟んだ両側の歩道は、まさに人がすれ違うことができないほどの混雑ぶり。
しかし、パレードが通過した5分後の歩道は・・・。私の膨大な時間と多くの市民の税金を投入した全国民舞パレードなど、やってもやらなくてもまったく変わらないように、いつもどおりの人っ子ひとりいない商店街に戻っていた。・・・略・・・『商店街でパレードを実施した意味は一体何だったのだろう・・・・』」


「行政がこれでもかというほど多額の補助金を投入し続けても、一向に活性化する素振りすら見せない全国の商店街を目の当たりにすれば、最初から補助金ありきの活性化策では、もはや商店街に活気を戻すことなどできないことは分かるはずだ。」





100円商店街イベント当日・・・

「そこで目にした光景は、今でも忘れられない衝撃と感動を私にもたらした。正午スタートと告知しているにもかかわらず、なんと朝九時過ぎの商店街はすでに人があふれ、中には店の開店を待つお客様の長い行列ができている店さえあった。・・略・・数千余存在する今の日本の商店街の中で、開店まちのお客さまが行列をつくる商店街が一体幾つあるだろうか。・・略・・今、目の前にあふれているお客さまは、単なるイベントに「遊びに」きたのではなく、「買物」という明確な目的を持って集まってきてくれた方々なのだ。商店街の活性化とは、そこに存在する個店の収益の増加だと私は考える。その目的のために考案した100円商店街。まさに会心の瞬間だった。」





商人に対して

「商人とは、『考える』からこそ商人なのである。だが、『考える』ことをしなくなった元商人に、時折お会いすることがある。商店街の方々と話をすると、『市役所は何もしてくれない』といった類の話や、『郊外の大型店のせいで』といったグチに近い話を賜ることがよくある。まさに、これこそが『考える』ことを停止した元商人の姿そのものなのだ。
確かに、行政は動きが鈍いかもしれない。近くに進出した大型量販店は強力な集客力を持っているかもしれない。しかし、そうした状況を愚痴る言葉には『だったら自分は何をするか』という主体的な考えがカケラも見当たらない。彼らの論法を持ってすれば、責任の所在はすべて外部にあるものであり、自店の経営不振は他人のせいなのだ。
同じように、100円商店街のシステムを説明すると、必ずといってよいほど『うちでは100円で売るものはない』と言う方々がいる。『ない』のではない。それは自分が『考える』ことのできなくなった元商人であることを、自ら声を上げて証明しているのと同じなのだ。」





全国の商店街の現状・・・

「100円商店街を考案するにあたって、日本各地の商店街活性化事業を調べたが、まったく使い物にならなかった。従来の活性化事業の根底に流れる考え方は、六十年前からまったく進化していないからだ。例えば『歩行者天国』・・略・・これは、日常の空間の中に非日常の空間を作り出すことで、集客力を発揮しようとするものだ。普段、車がバンバン走っている車道を日時限定で開放する。いつもは体験できない開放感に接した人間は、そこへ行ってみたくなる。その結果、商店街に人が集まる・・・。しかし、それで?としか言いようがない。大道芸人のパフォーマンスであろうが、イルミネーションによるライトアップであろうが、歴史的建造物の保護であろうが、やっていることの根底にある考え方はすべて共通していて、『商店街に人を集める』ことで終わってしまっているのだ。これらの事業は、商品を置けば売れた時代の発想である。・・・略・・しかし、今の時代は、商店街に人を山ほど集めたところで、個店の収益の増加には結びついていかない。ただ人を集めても物は売れない。それが現実なのだ。その現実から目をそらして、商店街にただ人を集めるためだけに、行政から大量の補助金を受け取って、さまざまなソフト事業に投下しているのが全国各地の商店街活性化事業の姿である。『もったいない』を通り越して、もはや『無駄』と言わざるをえない。

強烈です・・・。私もまちづくりに関わり、一年が経ち、同じような結論に達しているところだったので、ではどうすればいいの?という思いに駆られました。
彼は、決して評論家などではありません。
間違いなく、現場の最前線で汗をかき、現実を見ている人です。

そんな彼が、上の全ての課題を踏まえて考案した企画が
「100円商店街」
この本には、その成功ノウハウが余すことなく、全て公開されています。
(本を買ってご覧下さい!!!)

当初、私は、その言葉の響きから、単なる安売りイベント(しかもデフレスパイラルをより一層加速させる)程度に捉えていました。
しかし、この本を読み、その認識が間違いだったと気付かされました。

現在、函館伊丹などで行われ、守山でもまもなく行うバルというイベントに非常に似ていて、やり方次第で、同等(かそれ以上)の効果を期待できるものだと確信しました。現状、とっつきやすさ・知名度において圧倒的に「100円商店街」が上ですが・・・。

バルと100円商店街の共通点

・とにかく、店内に入ってもらう
・成功には店主の創意・工夫が不可欠
・高い回遊性を持つ
・費用対効果の高さ(開催費用がほとんどかからない)
・参加店の多さが成功か否かに直結する




既に全国40箇所以上で、100円商店街は開催されているようで・・・(滋賀県はまだゼロ)
全国100円商店街オフィシャルサイト
このブログへのリンクを貼っていただきました!ありがとうございます。

NPO-AMPのトップページにもリンクを貼っていただきました、ありがとうございます!!


※実は、私がこの本で最も参考になったと感じたのは第11章「舌禍事件顛末記」のくだり。
「口は災いのもと」と言われますが、筆者はイベント成功後、知名度が上がったときにマスコミに言葉尻を捉えられ、惨憺たる目にあっておられることを明かされています。過去に何度も、その不用意な発言によって、危機に陥った経験のある私としては他人事とは思えず、今後よりいっそう、自分を戒めていこうと考えさせてくれました。
といいながらも、この記事自体、かなり刺激的ですが・・・。



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Posted by みらいもりやま21 at 21:55│Comments(6)講演・研修レポート

この記事へのコメント
どうです?
守山でも導入してみませんか?
滋賀県内で実施している箇所がないのです。
Posted by 齋藤一成 at 2010年05月22日 00:13
>齋藤一成さま

筆者様、直々のコメントありがとうございます!
来週末、野田・生駒の100円商店街拝見させていただき、31日の伊丹での講演拝聴させていただこうかと思っております。

個人的には絶対やろうと思ってます。
ご指導ご鞭撻のほど、何卒宜しくお願いいたします。
Posted by みらいもりやま21 石上 at 2010年05月22日 08:32
 おお。齋藤一成様、はじめまして。わが町のタウンマネージャー(JTBコミュニケーション)からも『100円商店街』の話をお聞きしておりました。そして『100円商店街の魔法』を読んで、このイベントの意味がようやく分かりました!そういう意味でも本にしてくださって本当にありがとうございました。1度イベントに携わり同じような問題意識を持ちましたので、とても共感しました。人脈・ネットワークを活用した事業展開についても3月頃議論していました。


 商店街の方とお話ししたところ、「いや、実は『100円商店街』の話を県で聞いたことがあって、TVでも2,3回見たことがある。夜市はなるべく100円にしてる。商品が難しいな」とのこと(うちのまちはそういうことが多い)。100円のどんな商品があるのか(巻末にもたくさん記載がありましたが)お伺いしたいです。
 「100円商店街」類似イベントの「2009年 銀座夜市」(守山銀座商店街)とは。100円近くで物販しているのですが、店外でそのまま会計しているとか、類似点・相違点があります。

■「2009年 銀座夜市」
 http://www.tetsujin.co.jp/ginza/ginza%20yoichi.html

 普段の街の賑わいにつながっているのかどうかというと、シャッターは1つ開いて面白いお店ができましたし、昼のレストランは満席。今のまま続けていっても効果がありそうですから、改善すればもっとよくなると思います。私は「『100円商店街』を見習って、夜市をマイナーチェンジしたらいい」という気持ち。石上くんは「『100円商店街』として実施してみたら良い」という気持ち。どっちかしかない選択肢じゃありませんし、何事もやれることはやっておきたいので、両方かな?と。『守山100円商店街』、実現したいです。とりあえず今は周辺にこの本を普及しはじめているところ。

 ちなみにMM21blogの反響も大きくて、このエントリーの翌日、内閣府地域活性化本部の課長補佐が全国の中心市街地活性化関係市に送信しているメーリングリストで『100円商店街の魔法』の話がありました(内閣府地域活性化本部の課長補佐はこのblogの愛読者)。


> 石上さま
> 来週末、野田・生駒の100円商店街拝見させていただき、31日の伊丹での講演
 ん?こんなのあったんだ。
Posted by t技監(〒524守山ぎんざNOW!) at 2010年05月22日 12:05
 ブログ拝見いたしました。新庄市の井上と申しますが、100円商店街の開催をお勧めします。最初はマニュアルに沿い、徐々に自分の100円を創り上げる事を為されますれば、必ずやホームランになると確信しております。「100円のワゴンセールを商店街でしてみませんか」の一言から始まったことがこの様になるとは考えもしませんでしたが、間違いなく商店街再生のⅠファクターであったと感じております。これまで斉藤と二人三脚で走り続けてまいりましたが、毎回楽しみながら開催しております。
「守山100円商店街」開催の吉報をお待ちいたしております。
Posted by 井上和郎 at 2010年05月22日 16:37
>t技監

コメントというよりは、記事に近い長文ありがとうございます。
Posted by みらいもりやま21 石上 at 2010年05月23日 09:22
>井上和郎さま

コメントありがとうございます。

「毎回楽しみながら開催する」成功するための何よりの秘訣ですね。

良いご報告ができるよう努力いたします。
Posted by みらいもりやま21 石上 at 2010年05月23日 09:24
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