2011年01月30日
山納洋(やまのう・ひろし)氏「場を形にする」
名波さんと一緒に、気持ちだけでも壁に入りたかった、石上です。
ついウトウトしてしまい、気付いたら試合が終わっていました(泣)
ブログ記事の執筆に丸2日かかってしまいました。
それくらい今回お会いした方に感銘を受けたのです。
長い文章ですが、お暇なときに是非最後までお付き合い下さい。
金曜日に訪れた、大阪の中崎町。
地下鉄谷町線中崎町駅から歩いて、数十秒で見つけられます。
※JR大阪駅(梅田)から歩いても10分程度です。
岡村診療所ではなく、その下方に見える小さな看板。
common cafe
これ、手前が地下へ続く階段(画像右から左)になっていまして、お店は地下にあります。
ついウトウトしてしまい、気付いたら試合が終わっていました(泣)
ブログ記事の執筆に丸2日かかってしまいました。
それくらい今回お会いした方に感銘を受けたのです。
長い文章ですが、お暇なときに是非最後までお付き合い下さい。
金曜日に訪れた、大阪の中崎町。
地下鉄谷町線中崎町駅から歩いて、数十秒で見つけられます。
※JR大阪駅(梅田)から歩いても10分程度です。
岡村診療所ではなく、その下方に見える小さな看板。
common cafe
これ、手前が地下へ続く階段(画像右から左)になっていまして、お店は地下にあります。
common cafeのオーナーであり
この本(ご本人から直接、購入させていただきました)の著者である、山納洋(やまのう・ひろし)さんにお会いしてきたのです。
(後から気付いたのですが、この本を1年以上も前に読みなさいと薦めてくれていた方がいらっしゃいました。t-Gikan、すいませんです。)
名刺交換させていただいて、一番驚いたのは、彼が大阪ガスの現役社員だということ。
肩書きをみると、「近畿圏部 副課長」となっています。
勝手なイメージでしたが、とっくに退職されているものだと思い込んでいました。
山納さん「最初に伺いたいのですが、守山には都市ガス(天然ガス)が供給されていますか?」(講演に大手をふって行きやすくなるから)なんて、さすがは大阪ガスの職員さん。即答できず、すいませんでした。
1971年生まれの40歳。中学生のお子さんがいらっしゃるようにはとても見えない若々しさ。
コーヒーを入れてくださっている山納さん
『common cafe』
オープンは2004年4月1日。
営業時間は基本的に12時~23時。
約20坪の店内にテーブル6つ(24席)、カウンター5席と、ややゆったり
昼はカフェ、夜はバー。
演劇公演、映像の上映、音楽ライブ、トークイベント、朗読イベント、クラブイベント、トークサロン、雑貨販売、展覧会、展示会・・・etc
さまざまな催しに利用されています。
店内の棚は可動式になっていて、展示スペースにもなるし、ときにはイスにもなる
プロジェクタの映像を投射するため、真っ白に塗られた壁
そう、common cafeとは、簡単にいえば、店主が日替わる(どころか昼夜で替わる)、お店。
私がまちづくりに関して、他市の取組みを参考にする(悪くいえばパクル)とき、絶対に外せない条件があります。
それは、継続しているか否か・・・。
バルしかり(函館バル2004年2月~)
合コンしかり(宮コン2004年8月~)
100円しかり(新庄100円商店街2004年7月~)
まちゼミしかり(岡崎まちゼミ2003年1月~)
(全てが現在も継続中)
立ち上げるのは、数名のアツい思いを持つ者がいれば、可能ですが、これを継続するとなると極めて難しい。
まして補助金なし(本来当たり前のことなのですが・・)で、継続されるまちおこし(それを目的としているかどうかは別として、結果的にそうなるという意味において)のイベントなど、滅多にないのです。
継続できるのには理由がある(=良い事業)!それが私の持論です。
話がそれましたが、common cafeは、既に8年目。
しかも、補助金どころか、普通のサラリーマン山納氏(失礼)が、国金でお金を借りて始めた事業なのです。
(common cafeのスケジュール表)
わかりにくいかもしれませんが、現在もほとんど空きがなく、様々なジャンルのオーナーが入れ替わり立ち替わり、関わっています。
例えば、1月23日(日)~29日(土)の週
23(日)昼 無料ライブ(歌・ギター・ピアノ) 夜 JAZZライブ
24(月)昼 カフェ(マクロビオティックのランチ) 夜 カッパラキン(お笑い芸人によるトークイベント)
25(火)昼 カフェ(お菓子作りが趣味で将来独立を夢見る女性の店) 夜 OCC(扇町クリエイティブカレッジ)
26(水)昼 カフェ(地元栽培のオーガニックランチ) 夜 JAZZライブ
27(木)昼 カフェ(マクロビオティックのランチ) 夜 音波舎(ライブ)
28(金)昼 カフェ(普段は近くの大手チェーンのカフェで働く、若い女性2人が運営・・・ランチ食べました⇒下の画像)
☆鮭とキノコのアンチョビクリームオムライス
29(土)終日 中崎町ミュージアムスクエア(芝居)
すごい・・・毎日通ってみたくなりません?
これだけ多数の多彩な才能の持ち主を、一個人が集められるんだということに感動しました。
もちろん、私と違って、山納さんは行政との絡み(バックアップを受けている)のある方ではありません。
ですので、山納さんは毎月、国金にお金を返しながら、家賃を払って(当然ですが)いるのです。
現在、彼自身がお店に入ることはほとんどなく、コーディネーターとして関わられています。
だからといって、特に募集をかけたり、頭を下げて回っているわけではなく、噂を聞きつけた「やる気ある同志」が、出店したいと相談に来るのだそうです。
もちろん、各店主からお金をいただいて、事業は成り立っています。
「うまいな」と思ったのは、これを家賃とせず、売上ノルマとしているところ。
発想としては、日割り家賃に近いですが、そう表現しないのは「お金を払ってもらって貸す」という意識にしないため。
お金を払いさえすれば何をしてもよいという人や、お金を払った先がどうなっているかに関心を持たない人を生み出さず、みんなで店を維持していこうという前向きのモチベーションを生み出すためだそうです。
共同経営などと違って優れているのは、出店スケジュールを毎月決めるので、売れる人は残って、売れない人はさっさと去らざるを得ない(初期投資をかけていない分、撤退しやすい)という、システムが確立されているところでしょう。
となると・・・結局リスクは、開店時、初期投資をし、借主となり家賃を払っている、山納さんが全て背負っているわけで、「みんなが儲からないから、ってやめてしまったらどうしよう?」なんてウダウダ言わず、7年も続けておられることは特筆に価します。
無論、彼には経験に基づいた絶大なる自信があったわけです。
でなきゃ、上場企業の社員で、妻子ある、良識ある大人が、こんな無茶するハズありませんもの。
前段に、「RINO'S POINT」、そして「Common Bar SINGLES」の話があるのですが、これは上で紹介した山納さんの著書をご覧になってください。
山本宇一さんが守山にお越しくださって、早や1年。
奇しくも、同じ言葉が印象に残ります・・・。
残念ながら、日本にあるカフェをはじめとするお店の大半は、お店の人や、他のお客さんと喋ることのない空間になっています。
これを憂慮した、山納さんが目指したcommon cafeの理想
「いろんなバックグラウンドを持った人たちが出入りして言葉を交わし、情報を交換し合い、自然なかたちで新しいアイデアやエネルギーやコミュニケーションが次々と生まれていく『サロン』としての空間」
実はコレを作り出すことって、商店街が大型店に勝つ極意なんですよね・・・。
というより、コレしかないんです。
で、バルとか、合コンとか、100円とか、まちゼミとかやって、なんとか商店街をそういう空間にできないかなぁと、我々は試行錯誤しているわけです。
今年末にはOPENする予定の「歴史文化拠点(旧宇野本家)」
市民にとってのサードプレイスにしたいと、心から思うのです。
箱物行政なんて批判がありますが、結局は活かすも殺すも、我々市民次第なんだと思います。
なにせcommon cafeは、私からみれば、極めて使いづらい施設でしかないのですから。
失礼ながら、例を挙げれば・・・
・地下にあるとはいえ、住宅が近接しているため、深夜の騒音は×
・コンクリートむき出しのため、冬は寒く、夏は暑い
・階上が医院であり、ふらっと立ち寄れる雰囲気にない
・家庭用コンロのみで、本来、飲食店をやれるような設備はない
などなど・・・。
common cafeの悪口を言いたいわけではなく、この逆境の中、よくぞ7年間も営業されたものだと言いたいのです。
そして、営業されただけでなく、様々な若人を発掘し、世に送り出しているのです。
あの「伊丹まちなかバル」で何度かお会いしている、オトラクの仕掛け人中脇健児氏も20歳から、山納さんの知り合いだったと聞いて驚愕しました。
では、如何にして、大阪ガスの勤め人が、これほどたくさんの多彩な人たちと出会ってきたのか・・・。
この疑問の答えを知るには、前述した本を是非購入していただきたいのですが、本にもあり、直接お話を伺った一つの企画に私は非常に感銘を受けましたので、ここで紹介します。
それは・・・
『扇町Talkin' About』
サロンをつくる実験として、2000年4月に始められた
「決められたテーマについて、参加者自身が語り合うトークサロン企画」
近隣のカフェやバーで、週に3~4回、19時半頃から集まって話をするのです。
フランスでは、「哲学カフェ」なるものが開催されているそうです。
まちなかのカフェにお互い見知らぬ200人近い人が集まり、哲学的なテーマについて語り合う・・・。
山納さんは、わざわざフランスまで行って、この哲学カフェに参加します。
そして、こう思ったそうです。
「こうしたカフェでの取り組みが次に何を生み出すか分からないけど、少なくとも大阪でもできるんじゃないか」
フランスまで行ってしまう行動力もさることながら、この発想大好きです。
「人と人が出会う強度がとても弱くなっている現代に、わざわざ知らない人とコミュニケーションを持つことを欲している人が、果たしてどれだけいるのか?」という疑問を持ちながらも、2000年から月15本ペースで、2005年までに700回超開催された、この企画。
テーマは、演劇、映画、現代美術、音楽、文学、ポエトリー、お笑い、漫画、哲学などなど、非常に多岐に渡ります。
哲学カフェならぬ、雑学カフェ。山納さんはそう形容されています。
これだけ継続できたのは、何より素晴らしいその仕組みと考え方。
1.何人集まったか気にしない(別名:3人でやるイベント・反イベント・・・3人しか集まらないときもしばしばあった)
2.お金が絡まないシステム(参加料、ギャラなどは一切なし。かかるのはチラシ代のみ)
3.さまざまなジャンルがクロスオーバーするシステム(「表現をする人たち」=アーティストは、ともすれば個々のジャンルに閉じてしまいがち。マイナーカルチャー同士をつなぎ、広がりの生まれるサロンを)
4.みんなが、情報を発信、受信できる場
5.見ず知らずの人と喋るという体験が日常的に起こる場
6.大阪には東京ほど著名人が集まっていないことを逆手にとる(無名の知識人を世に送り出す)
7.自分自身の勉強のため
数ヶ月続けるうちに、いろんな方がサロンの主宰者として名乗りをあげるようになります。
上方文化評論家、笑いのミニコミ誌の編集長、哲学を専攻している研究者・・・・
テーマについても
「新聞を斜に構えて読む会」
「旅のトラブル・失敗自慢」
「秋のドラマ、イチオシはどれ!?」
「サルサレコード鑑賞会」
「ピンク映画入門」
「実験哲学カフェ」
「兼高かおるは来ない~集まったメンバーで世界の話をしよう~」
「モンティ・パイソンをみたか!?」
「演劇よもやま話」
「オリガミ王になろう!」
「戯曲朗読感想会」
「読む前に書け~既存の小説を自分たちの言葉で斬り裂くナイスな集い~」
他、多数。
本の末尾に700回のテーマ全てが記載されているのですが、私が個人的に参加したいなぁと思うものだけでも数え切れないほどあります。
もちろん、テーマごとに主宰者(=ファシリテーター)は代わるのです。
山納さん曰く
「やりたい人にやりたいことをやらせる!」
のが大切。いい言葉だなぁ。
そんなTalkin' Aboutですが、参加者が多すぎても、全員が喋れなくなってしまうという難しいイベントでもあります。
山納さんの経験によれば、理想は新規参加者も含め、5~15名程度。
主宰者は、集まっている全員に気を遣いつつ、約2時間の会を有意義なものにしなければなりません。
参加者は大別して3パターン。
「喋りたくて喋れる人」
「喋りたいけど喋るのが上手くない人」
「ただ聞いていたいだけの人」
できるだけ早く、これを見分け、会話を回さなければならないのです。
こんなこと繰り返していれば、そりゃファシリテーション能力もつくし、たくさんの多彩な人を発掘できるでしょう。
ここから、さまざまなプロジェクトが企画され、実現していったのですが、その話は是非、本を読んでください。
必ずしや、「守山Talkin' About」実現したいと思います。
まっ、そんなに肩に力入れなくても、できてしまうのが、この企画の素晴らしいところなんですけど。
とりあえず、守山Talkin' Aboutじゃあまりにも芸がないので、企画のタイトルのネーミングと、記念すべき第1回のテーマをしばらく考えたいと思います。
有難いことに開催場所候補はたくさんあるのですから。
山納さんは、一言も「まちづくり」なんてキーワードを発せられませんでした。
でも、彼は、まちづくり(特に今の私自身)にとって、最も重要だと思われる
「人材の発掘・巻き込み」の天才です。
この時期(早すぎると、わからなかった・・・)に山納さんと出会えたことに、感謝すると同時に不思議なご縁を感じます。
間を取り持っていただいた、ハートビートプラン 泉様、中小機構近畿支部 長坂様、本当にありがとうございました。
この本(ご本人から直接、購入させていただきました)の著者である、山納洋(やまのう・ひろし)さんにお会いしてきたのです。
(後から気付いたのですが、この本を1年以上も前に読みなさいと薦めてくれていた方がいらっしゃいました。t-Gikan、すいませんです。)
名刺交換させていただいて、一番驚いたのは、彼が大阪ガスの現役社員だということ。
肩書きをみると、「近畿圏部 副課長」となっています。
勝手なイメージでしたが、とっくに退職されているものだと思い込んでいました。
山納さん「最初に伺いたいのですが、守山には都市ガス(天然ガス)が供給されていますか?」(講演に大手をふって行きやすくなるから)なんて、さすがは大阪ガスの職員さん。即答できず、すいませんでした。
1971年生まれの40歳。中学生のお子さんがいらっしゃるようにはとても見えない若々しさ。
コーヒーを入れてくださっている山納さん
『common cafe』
オープンは2004年4月1日。
営業時間は基本的に12時~23時。
約20坪の店内にテーブル6つ(24席)、カウンター5席と、ややゆったり
昼はカフェ、夜はバー。
演劇公演、映像の上映、音楽ライブ、トークイベント、朗読イベント、クラブイベント、トークサロン、雑貨販売、展覧会、展示会・・・etc
さまざまな催しに利用されています。
店内の棚は可動式になっていて、展示スペースにもなるし、ときにはイスにもなる
プロジェクタの映像を投射するため、真っ白に塗られた壁
「common cafeは さまざまなジャンルに関心を持つ日替わりマスター・企画スタッフにより共同運営されています。」
(common cafeホームページより)
そう、common cafeとは、簡単にいえば、店主が日替わる(どころか昼夜で替わる)、お店。
私がまちづくりに関して、他市の取組みを参考にする(悪くいえばパクル)とき、絶対に外せない条件があります。
それは、継続しているか否か・・・。
バルしかり(函館バル2004年2月~)
合コンしかり(宮コン2004年8月~)
100円しかり(新庄100円商店街2004年7月~)
まちゼミしかり(岡崎まちゼミ2003年1月~)
(全てが現在も継続中)
立ち上げるのは、数名のアツい思いを持つ者がいれば、可能ですが、これを継続するとなると極めて難しい。
まして補助金なし(本来当たり前のことなのですが・・)で、継続されるまちおこし(それを目的としているかどうかは別として、結果的にそうなるという意味において)のイベントなど、滅多にないのです。
継続できるのには理由がある(=良い事業)!それが私の持論です。
話がそれましたが、common cafeは、既に8年目。
しかも、補助金どころか、普通のサラリーマン山納氏(失礼)が、国金でお金を借りて始めた事業なのです。
(common cafeのスケジュール表)
わかりにくいかもしれませんが、現在もほとんど空きがなく、様々なジャンルのオーナーが入れ替わり立ち替わり、関わっています。
例えば、1月23日(日)~29日(土)の週
23(日)昼 無料ライブ(歌・ギター・ピアノ) 夜 JAZZライブ
24(月)昼 カフェ(マクロビオティックのランチ) 夜 カッパラキン(お笑い芸人によるトークイベント)
25(火)昼 カフェ(お菓子作りが趣味で将来独立を夢見る女性の店) 夜 OCC(扇町クリエイティブカレッジ)
26(水)昼 カフェ(地元栽培のオーガニックランチ) 夜 JAZZライブ
27(木)昼 カフェ(マクロビオティックのランチ) 夜 音波舎(ライブ)
28(金)昼 カフェ(普段は近くの大手チェーンのカフェで働く、若い女性2人が運営・・・ランチ食べました⇒下の画像)
☆鮭とキノコのアンチョビクリームオムライス
29(土)終日 中崎町ミュージアムスクエア(芝居)
すごい・・・毎日通ってみたくなりません?
これだけ多数の多彩な才能の持ち主を、一個人が集められるんだということに感動しました。
もちろん、私と違って、山納さんは行政との絡み(バックアップを受けている)のある方ではありません。
ですので、山納さんは毎月、国金にお金を返しながら、家賃を払って(当然ですが)いるのです。
現在、彼自身がお店に入ることはほとんどなく、コーディネーターとして関わられています。
だからといって、特に募集をかけたり、頭を下げて回っているわけではなく、噂を聞きつけた「やる気ある同志」が、出店したいと相談に来るのだそうです。
もちろん、各店主からお金をいただいて、事業は成り立っています。
「うまいな」と思ったのは、これを家賃とせず、売上ノルマとしているところ。
common cafeのシステム
一定のノルマ(売上金額)を決め、それを毎回必ず納めてもらう。
そして、ノルマを超えた売上の10%、それに加えフードの売上(材料はすべて自分で持ち込む)が報酬となる。
※もし、ノルマを超えなければ、当然自腹を切る
発想としては、日割り家賃に近いですが、そう表現しないのは「お金を払ってもらって貸す」という意識にしないため。
お金を払いさえすれば何をしてもよいという人や、お金を払った先がどうなっているかに関心を持たない人を生み出さず、みんなで店を維持していこうという前向きのモチベーションを生み出すためだそうです。
共同経営などと違って優れているのは、出店スケジュールを毎月決めるので、売れる人は残って、売れない人はさっさと去らざるを得ない(初期投資をかけていない分、撤退しやすい)という、システムが確立されているところでしょう。
となると・・・結局リスクは、開店時、初期投資をし、借主となり家賃を払っている、山納さんが全て背負っているわけで、「みんなが儲からないから、ってやめてしまったらどうしよう?」なんてウダウダ言わず、7年も続けておられることは特筆に価します。
無論、彼には経験に基づいた絶大なる自信があったわけです。
でなきゃ、上場企業の社員で、妻子ある、良識ある大人が、こんな無茶するハズありませんもの。
前段に、「RINO'S POINT」、そして「Common Bar SINGLES」の話があるのですが、これは上で紹介した山納さんの著書をご覧になってください。
山本宇一さんが守山にお越しくださって、早や1年。
奇しくも、同じ言葉が印象に残ります・・・。
レイ・オールデンバーグ(アメリカの社会学者)の言葉
都市に生きる人に必要な3つの居場所
1.家
2.職場(学校)
3.サードプレイス(上2つの中間地帯)
「人間は、形式張らない社交の場に集い、仕事や家庭の問題を忘れ、くつろいだ雰囲気で話をしたい欲求を持っている。」
・・common cafeより抜粋
残念ながら、日本にあるカフェをはじめとするお店の大半は、お店の人や、他のお客さんと喋ることのない空間になっています。
これを憂慮した、山納さんが目指したcommon cafeの理想
「いろんなバックグラウンドを持った人たちが出入りして言葉を交わし、情報を交換し合い、自然なかたちで新しいアイデアやエネルギーやコミュニケーションが次々と生まれていく『サロン』としての空間」
実はコレを作り出すことって、商店街が大型店に勝つ極意なんですよね・・・。
というより、コレしかないんです。
で、バルとか、合コンとか、100円とか、まちゼミとかやって、なんとか商店街をそういう空間にできないかなぁと、我々は試行錯誤しているわけです。
今年末にはOPENする予定の「歴史文化拠点(旧宇野本家)」
市民にとってのサードプレイスにしたいと、心から思うのです。
箱物行政なんて批判がありますが、結局は活かすも殺すも、我々市民次第なんだと思います。
なにせcommon cafeは、私からみれば、極めて使いづらい施設でしかないのですから。
失礼ながら、例を挙げれば・・・
・地下にあるとはいえ、住宅が近接しているため、深夜の騒音は×
・コンクリートむき出しのため、冬は寒く、夏は暑い
・階上が医院であり、ふらっと立ち寄れる雰囲気にない
・家庭用コンロのみで、本来、飲食店をやれるような設備はない
などなど・・・。
common cafeの悪口を言いたいわけではなく、この逆境の中、よくぞ7年間も営業されたものだと言いたいのです。
そして、営業されただけでなく、様々な若人を発掘し、世に送り出しているのです。
あの「伊丹まちなかバル」で何度かお会いしている、オトラクの仕掛け人中脇健児氏も20歳から、山納さんの知り合いだったと聞いて驚愕しました。
では、如何にして、大阪ガスの勤め人が、これほどたくさんの多彩な人たちと出会ってきたのか・・・。
この疑問の答えを知るには、前述した本を是非購入していただきたいのですが、本にもあり、直接お話を伺った一つの企画に私は非常に感銘を受けましたので、ここで紹介します。
それは・・・
『扇町Talkin' About』
サロンをつくる実験として、2000年4月に始められた
「決められたテーマについて、参加者自身が語り合うトークサロン企画」
近隣のカフェやバーで、週に3~4回、19時半頃から集まって話をするのです。
あるカルチャーが台頭するとき、そこには必ずクリエイティブな人々が集まるサロンがあった・・・
キャバレー・ヴォルテール、カフェ・ド・フロール、新宿ゴールデン街、・・・etc(common cafeより抜粋)
フランスでは、「哲学カフェ」なるものが開催されているそうです。
まちなかのカフェにお互い見知らぬ200人近い人が集まり、哲学的なテーマについて語り合う・・・。
山納さんは、わざわざフランスまで行って、この哲学カフェに参加します。
そして、こう思ったそうです。
「こうしたカフェでの取り組みが次に何を生み出すか分からないけど、少なくとも大阪でもできるんじゃないか」
フランスまで行ってしまう行動力もさることながら、この発想大好きです。
「人と人が出会う強度がとても弱くなっている現代に、わざわざ知らない人とコミュニケーションを持つことを欲している人が、果たしてどれだけいるのか?」という疑問を持ちながらも、2000年から月15本ペースで、2005年までに700回超開催された、この企画。
テーマは、演劇、映画、現代美術、音楽、文学、ポエトリー、お笑い、漫画、哲学などなど、非常に多岐に渡ります。
哲学カフェならぬ、雑学カフェ。山納さんはそう形容されています。
これだけ継続できたのは、何より素晴らしいその仕組みと考え方。
1.何人集まったか気にしない(別名:3人でやるイベント・反イベント・・・3人しか集まらないときもしばしばあった)
2.お金が絡まないシステム(参加料、ギャラなどは一切なし。かかるのはチラシ代のみ)
3.さまざまなジャンルがクロスオーバーするシステム(「表現をする人たち」=アーティストは、ともすれば個々のジャンルに閉じてしまいがち。マイナーカルチャー同士をつなぎ、広がりの生まれるサロンを)
4.みんなが、情報を発信、受信できる場
5.見ず知らずの人と喋るという体験が日常的に起こる場
6.大阪には東京ほど著名人が集まっていないことを逆手にとる(無名の知識人を世に送り出す)
7.自分自身の勉強のため
数ヶ月続けるうちに、いろんな方がサロンの主宰者として名乗りをあげるようになります。
上方文化評論家、笑いのミニコミ誌の編集長、哲学を専攻している研究者・・・・
テーマについても
「新聞を斜に構えて読む会」
「旅のトラブル・失敗自慢」
「秋のドラマ、イチオシはどれ!?」
「サルサレコード鑑賞会」
「ピンク映画入門」
「実験哲学カフェ」
「兼高かおるは来ない~集まったメンバーで世界の話をしよう~」
「モンティ・パイソンをみたか!?」
「演劇よもやま話」
「オリガミ王になろう!」
「戯曲朗読感想会」
「読む前に書け~既存の小説を自分たちの言葉で斬り裂くナイスな集い~」
他、多数。
本の末尾に700回のテーマ全てが記載されているのですが、私が個人的に参加したいなぁと思うものだけでも数え切れないほどあります。
もちろん、テーマごとに主宰者(=ファシリテーター)は代わるのです。
山納さん曰く
「やりたい人にやりたいことをやらせる!」
のが大切。いい言葉だなぁ。
そんなTalkin' Aboutですが、参加者が多すぎても、全員が喋れなくなってしまうという難しいイベントでもあります。
山納さんの経験によれば、理想は新規参加者も含め、5~15名程度。
主宰者は、集まっている全員に気を遣いつつ、約2時間の会を有意義なものにしなければなりません。
参加者は大別して3パターン。
「喋りたくて喋れる人」
「喋りたいけど喋るのが上手くない人」
「ただ聞いていたいだけの人」
できるだけ早く、これを見分け、会話を回さなければならないのです。
こんなこと繰り返していれば、そりゃファシリテーション能力もつくし、たくさんの多彩な人を発掘できるでしょう。
ここから、さまざまなプロジェクトが企画され、実現していったのですが、その話は是非、本を読んでください。
必ずしや、「守山Talkin' About」実現したいと思います。
まっ、そんなに肩に力入れなくても、できてしまうのが、この企画の素晴らしいところなんですけど。
とりあえず、守山Talkin' Aboutじゃあまりにも芸がないので、企画のタイトルのネーミングと、記念すべき第1回のテーマをしばらく考えたいと思います。
有難いことに開催場所候補はたくさんあるのですから。
山納さんは、一言も「まちづくり」なんてキーワードを発せられませんでした。
でも、彼は、まちづくり(特に今の私自身)にとって、最も重要だと思われる
「人材の発掘・巻き込み」の天才です。
この時期(早すぎると、わからなかった・・・)に山納さんと出会えたことに、感謝すると同時に不思議なご縁を感じます。
間を取り持っていただいた、ハートビートプラン 泉様、中小機構近畿支部 長坂様、本当にありがとうございました。
Posted by みらいもりやま21 at 17:25│Comments(12)
│講演・研修レポート
この記事へのコメント
まったくそのとおりだと思います。
見事に書ききってますね。。。説明うまいなぁ~。
「守山Talkin' About」は「まちゼミ」にも似てますが、
店主さんがお店で開催するのが「まちゼミ」で、
「守山Talkin' About」は店主さんじゃなくて良いのか。。。
中崎は沖野さんがDJしてるNOONが好きです。
見事に書ききってますね。。。説明うまいなぁ~。
「守山Talkin' About」は「まちゼミ」にも似てますが、
店主さんがお店で開催するのが「まちゼミ」で、
「守山Talkin' About」は店主さんじゃなくて良いのか。。。
中崎は沖野さんがDJしてるNOONが好きです。
Posted by t-Gikan at 2011年01月30日 18:24
やりたいことやる、サードプレイス!いいですね。
いろんな人が集まって、お互いに好きなことをして、いつか形になっていければいいですね、偶然から必然へ。。
最近知った「ワールドカフェ」とかも、ファシリテーション能力に注目しているみたいですし、これから期待しています。
いろんな人が集まって、お互いに好きなことをして、いつか形になっていければいいですね、偶然から必然へ。。
最近知った「ワールドカフェ」とかも、ファシリテーション能力に注目しているみたいですし、これから期待しています。
Posted by テブラーマン at 2011年01月30日 18:27
>t-Gikanさま
貴方ほどの読書家に褒めていただけて、何より光栄です。
いやしかし、貴方の見識は本当に凄い・・・。
>テブラーマンさま
ワールドカフェですか・・・。
勉強になります。
貴方ほどの読書家に褒めていただけて、何より光栄です。
いやしかし、貴方の見識は本当に凄い・・・。
>テブラーマンさま
ワールドカフェですか・・・。
勉強になります。
Posted by 石上 at 2011年01月31日 08:25
石上マネージャー いい勉強をしましたね。
形はどうあれいろんな事を知り、みんなに情報を発信する。大事です。
アンテナを張っている人に通じて、ネットワークが広がり、少しづつ動きます。できることからやりましょう。
守山も若い新市長が決まりました。これからは若いあなたたちが守山を動かします。
われわれもしっかりサポートします。
形はどうあれいろんな事を知り、みんなに情報を発信する。大事です。
アンテナを張っている人に通じて、ネットワークが広がり、少しづつ動きます。できることからやりましょう。
守山も若い新市長が決まりました。これからは若いあなたたちが守山を動かします。
われわれもしっかりサポートします。
Posted by とある社長 at 2011年01月31日 12:01
いつもブログに励まされています。ありがとうございます。
今回のはまたすばらしい実践ですね。
「cafeから時代は創られる」(飯田美樹さん)というくらいで、
私も集いと自由な語らいの場こそ、今、求められていると確信し、
琵琶湖博物館で「びわこ大縁日」とか「こたつブース」とかやってます。
16日まで、近江・糸と織りネットワークの活動博覧会の会場の
こたつで仕事してます。お忙しいとは存じますが、
ぜひ、この機会にご都合をつけてお越しくださいませ。
今回のはまたすばらしい実践ですね。
「cafeから時代は創られる」(飯田美樹さん)というくらいで、
私も集いと自由な語らいの場こそ、今、求められていると確信し、
琵琶湖博物館で「びわこ大縁日」とか「こたつブース」とかやってます。
16日まで、近江・糸と織りネットワークの活動博覧会の会場の
こたつで仕事してます。お忙しいとは存じますが、
ぜひ、この機会にご都合をつけてお越しくださいませ。
Posted by nakaty at 2011年01月31日 21:11
>とある社長さま
できることからコツコツと・・・
頑張ります!
>nakatyさま
すっかり、ご無沙汰してしまい申し訳ございません。
琵琶湖博物館には是非、ブラックバスを食しに伺いたいと思っています。
できることからコツコツと・・・
頑張ります!
>nakatyさま
すっかり、ご無沙汰してしまい申し訳ございません。
琵琶湖博物館には是非、ブラックバスを食しに伺いたいと思っています。
Posted by 石上 at 2011年02月01日 07:55
カフェの歴史の本、MM21に少しあるはず。
ついでに余談。
ここにコメントしてる人には誤解が無いと思いますが、
コーヒーを飲むだけの純喫茶やファストフード・フランチャイズ店などのコーヒー産業の場所の話ではなく、
クリエイターが集まり交流があってカルチャーを生み出し牽引しているサロンの話について、少々蛇足を。
「あるカルチャーが台頭するとき、そこには必ずクリエイティブな人々が集まるサロンがあった」(『common cafe』山納洋、p.42)は有名な話。おそらく初出は、ボーヴォワールが1960年に発表した自伝『女ざかり(La Force de l'âge)』、場所は状況から推測されてサン・ジェルマン・デ・プレのLes Deux Magots(ドゥー・マゴ)。
*******************
フッサールの研究者であるアロンが、自分のコップを指して、サルトルに語った言葉です。
『ほらね、君が現象学者だったら、このカクテルについて語れるんだよ、そしてそれは哲学なんだ!』
この時のサルトルの反応をボーボワールは、
『サルトルは感動で青ざめた。ほとんど青ざめたといってよい』
更にボーボワールは続けます。
『事物について語ること、彼が触れるがままの事物を、・・それが哲学であることを彼は望んでいたのである』
『女ざかり』(ボーヴォワール)
*******************
このボーヴォワールの一節が、1970年、ベストセラー『現象学』(木田元)の冒頭でも引用され、再度脚光が当たって、この辺のことをみんななんとなく覚えていて広まっているのかな?と感じます。
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/tabitonokumasan/view/201009
そして日本のサロン、飯倉キャンティ(イタリア料理店)が1960年創業。
http://www.musicman-net.com/relay/88/a_3.html
http://www.ntv.co.jp/chianti/story/index.html
ところが店主と客が惰性化してしまいサロンからクリエイターが離れると、かつてのサロンの栄光をノスタルジックに懐かしむ消費者だけがあつまるようになる。中には新宿ゴールデン街みたいに、ときどきクリエイターがやってきて時々息を吹き返すというか一息つくこともありますが。
*******************
ハーバーマスは、いつでも、人工の共同体は惰性化してしまうといいます。
惰性化してしまえば、カフェは、ただの娯楽産業であり、そこに集まる人間の群れは、意志を失った群集でしかありません。
メディアは、その群集を組織して、ただ「無縁」を消費するだけです。
*******************
http://d.hatena.ne.jp/shins2m/20100522/1274497225
その後のサロンは、1990年代以降はDJ須永辰緒さんプロデュースの「オルガンバー」とか、山本宇一さんプロデュース「web、バワリーキッチン、Lotus、丸の内ハウス」とかかな、と思う。ストリート系のお店がたくさんある中でも。
クリエイティヴな店主と客が集まることを常に考え継続しているcommon cafeのようなお店の方向性は素晴らしく、エッジの効いたクリエイターが集まればほとんどゴール。(お店があって、カレンダーにイベントオーガナイザーと相談しながらイベントを埋めていく、という点とか、fee/chargeの点で、common cafeはクラブと経営形態が似ている。)
こういうこと話は別に僕オリジナルの持論ではなくて、1960年代からずっと、ジェイン・ジェイコヴズからクリエイティヴ・シティという本までさんざん語られている話なのですが、まちづくりの現場にはあやふやに広まっているもののイマイチ浸透しておらず、どう説明したら分かりやすいのかなぁ…、というのが、この1年の悩みです。
守山にも「そらいろ」があって交流が盛んで良いサロンだし、順調に育ちつつあるなぁ、と思います。こういうお店が一つあるって、すごく幸運なことだと思います。「カシトラ」も良い予感がします。
クリエイティヴな店主は、最初は元手が少なくて済むリノベーションでスタートして、後々手狭になったなら新築・建て替えを考えれば良い。新築・建て替えを考えるのは最後の最後。という風に話はつながっていきます。。。
ついでに余談。
ここにコメントしてる人には誤解が無いと思いますが、
コーヒーを飲むだけの純喫茶やファストフード・フランチャイズ店などのコーヒー産業の場所の話ではなく、
クリエイターが集まり交流があってカルチャーを生み出し牽引しているサロンの話について、少々蛇足を。
「あるカルチャーが台頭するとき、そこには必ずクリエイティブな人々が集まるサロンがあった」(『common cafe』山納洋、p.42)は有名な話。おそらく初出は、ボーヴォワールが1960年に発表した自伝『女ざかり(La Force de l'âge)』、場所は状況から推測されてサン・ジェルマン・デ・プレのLes Deux Magots(ドゥー・マゴ)。
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フッサールの研究者であるアロンが、自分のコップを指して、サルトルに語った言葉です。
『ほらね、君が現象学者だったら、このカクテルについて語れるんだよ、そしてそれは哲学なんだ!』
この時のサルトルの反応をボーボワールは、
『サルトルは感動で青ざめた。ほとんど青ざめたといってよい』
更にボーボワールは続けます。
『事物について語ること、彼が触れるがままの事物を、・・それが哲学であることを彼は望んでいたのである』
『女ざかり』(ボーヴォワール)
*******************
このボーヴォワールの一節が、1970年、ベストセラー『現象学』(木田元)の冒頭でも引用され、再度脚光が当たって、この辺のことをみんななんとなく覚えていて広まっているのかな?と感じます。
http://geocities.yahoo.co.jp/gl/tabitonokumasan/view/201009
そして日本のサロン、飯倉キャンティ(イタリア料理店)が1960年創業。
http://www.musicman-net.com/relay/88/a_3.html
http://www.ntv.co.jp/chianti/story/index.html
ところが店主と客が惰性化してしまいサロンからクリエイターが離れると、かつてのサロンの栄光をノスタルジックに懐かしむ消費者だけがあつまるようになる。中には新宿ゴールデン街みたいに、ときどきクリエイターがやってきて時々息を吹き返すというか一息つくこともありますが。
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ハーバーマスは、いつでも、人工の共同体は惰性化してしまうといいます。
惰性化してしまえば、カフェは、ただの娯楽産業であり、そこに集まる人間の群れは、意志を失った群集でしかありません。
メディアは、その群集を組織して、ただ「無縁」を消費するだけです。
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http://d.hatena.ne.jp/shins2m/20100522/1274497225
その後のサロンは、1990年代以降はDJ須永辰緒さんプロデュースの「オルガンバー」とか、山本宇一さんプロデュース「web、バワリーキッチン、Lotus、丸の内ハウス」とかかな、と思う。ストリート系のお店がたくさんある中でも。
クリエイティヴな店主と客が集まることを常に考え継続しているcommon cafeのようなお店の方向性は素晴らしく、エッジの効いたクリエイターが集まればほとんどゴール。(お店があって、カレンダーにイベントオーガナイザーと相談しながらイベントを埋めていく、という点とか、fee/chargeの点で、common cafeはクラブと経営形態が似ている。)
こういうこと話は別に僕オリジナルの持論ではなくて、1960年代からずっと、ジェイン・ジェイコヴズからクリエイティヴ・シティという本までさんざん語られている話なのですが、まちづくりの現場にはあやふやに広まっているもののイマイチ浸透しておらず、どう説明したら分かりやすいのかなぁ…、というのが、この1年の悩みです。
守山にも「そらいろ」があって交流が盛んで良いサロンだし、順調に育ちつつあるなぁ、と思います。こういうお店が一つあるって、すごく幸運なことだと思います。「カシトラ」も良い予感がします。
クリエイティヴな店主は、最初は元手が少なくて済むリノベーションでスタートして、後々手狭になったなら新築・建て替えを考えれば良い。新築・建て替えを考えるのは最後の最後。という風に話はつながっていきます。。。
Posted by t-Gikan at 2011年02月01日 12:00
たまたま関連記事。
「だから狭義のソーシャルメディアが「産業」として従来のメディアより小さくなるとしても、嘆くにはあたらない。それはサービスを消費する側だけではなく、それを生産する側にも喜びを与え、一般的知性をさらに発展させ、成長のエンジンとなるからだ。そしてマルクスも指摘したように、科学の大部分はこのような娯楽として生まれ、結果として産業を発達させたのである。」
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51671941.html
さらに蛇足。
common cafeみたいに常設の場所がなくても、bbs,blog,twitterなどサロンはあるわけで。bbs,blog,twitterは常設のサロン機能を補完してくれる。
common cafeが一定に成立するのって、オフ会みたいなものじゃないかなぁ。。。
「だから狭義のソーシャルメディアが「産業」として従来のメディアより小さくなるとしても、嘆くにはあたらない。それはサービスを消費する側だけではなく、それを生産する側にも喜びを与え、一般的知性をさらに発展させ、成長のエンジンとなるからだ。そしてマルクスも指摘したように、科学の大部分はこのような娯楽として生まれ、結果として産業を発達させたのである。」
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51671941.html
さらに蛇足。
common cafeみたいに常設の場所がなくても、bbs,blog,twitterなどサロンはあるわけで。bbs,blog,twitterは常設のサロン機能を補完してくれる。
common cafeが一定に成立するのって、オフ会みたいなものじゃないかなぁ。。。
Posted by t-Gikan at 2011年02月01日 12:48
>t-Gikanさま
長きに渡る、余談プラス蛇足ありがとうございます。
山納さんをして「博識」と言わしめた、その知識、ぱねぇっす。
そうか、ソーシャルメディアは常設のサロン機能を果たしているのですね。
今度、パネラーとして参加させていただく「滋賀咲くブログ企画」での良いネタができました。
長きに渡る、余談プラス蛇足ありがとうございます。
山納さんをして「博識」と言わしめた、その知識、ぱねぇっす。
そうか、ソーシャルメディアは常設のサロン機能を果たしているのですね。
今度、パネラーとして参加させていただく「滋賀咲くブログ企画」での良いネタができました。
Posted by 石上 at 2011年02月03日 22:38
『cafeから時代は創られる』(飯田美樹, 2008/2009)は良い本ですねぇ。。。マイナーな出版社。。。ほかにも良い本があったら御紹介くださいませ!
ただ、これは、、、フランスの本の引用(多数)は各章末に、その他主要参考文献を巻末に出典を明記していますが、それ以外にも出典を明らかにしていませんけど先行する著作の考察をなぞってますね。
例えば、
カフェの歴史は誰が書いてもこんな感じでしょうけど、、、
■カフェ―ユニークな文化の場所 (丸善ライブラリー) [新書] 渡辺 淳 (著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4621051563/
■パリのカフェをつくった人々 (中公文庫) [文庫] 玉村 豊男 (著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4122029163/
『A great good place』(レイ・オルデンバーグ)のサードプレイスの考察とか、
■The Great Good Place: Cafes, Coffee Shops, Bookstores, Bars, Hair Salons, and Other Hangouts at the Heart of a Community [ペーパーバック] Ray Oldenburg (著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/1569246815/
バルの本の指摘もなぞってる(イタリアのバルの風景を、フランスのカフェに置き換えている)。
■バール、コーヒー、イタリア人―グローバル化もなんのその (光文社新書) [新書] 島村 菜津 (著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4334033962/
カウンターの重要性に関する考察は、ネットでも公開していた久繁哲之介さんの考察をなぞってる。
■日本版スローシティ―地域固有の文化・風土を活かすまちづくり [単行本] 久繁 哲之介 (著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4313814140/
■地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか? (ちくま新書) [新書] 久繁 哲之介 (著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4480065628/
すぐバレるんだから、この著者は出典を書けば良いのになぁ。。。と、少し微妙な読後感。
ただ、これは、、、フランスの本の引用(多数)は各章末に、その他主要参考文献を巻末に出典を明記していますが、それ以外にも出典を明らかにしていませんけど先行する著作の考察をなぞってますね。
例えば、
カフェの歴史は誰が書いてもこんな感じでしょうけど、、、
■カフェ―ユニークな文化の場所 (丸善ライブラリー) [新書] 渡辺 淳 (著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4621051563/
■パリのカフェをつくった人々 (中公文庫) [文庫] 玉村 豊男 (著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4122029163/
『A great good place』(レイ・オルデンバーグ)のサードプレイスの考察とか、
■The Great Good Place: Cafes, Coffee Shops, Bookstores, Bars, Hair Salons, and Other Hangouts at the Heart of a Community [ペーパーバック] Ray Oldenburg (著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/1569246815/
バルの本の指摘もなぞってる(イタリアのバルの風景を、フランスのカフェに置き換えている)。
■バール、コーヒー、イタリア人―グローバル化もなんのその (光文社新書) [新書] 島村 菜津 (著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4334033962/
カウンターの重要性に関する考察は、ネットでも公開していた久繁哲之介さんの考察をなぞってる。
■日本版スローシティ―地域固有の文化・風土を活かすまちづくり [単行本] 久繁 哲之介 (著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4313814140/
■地域再生の罠 なぜ市民と地方は豊かになれないのか? (ちくま新書) [新書] 久繁 哲之介 (著)
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4480065628/
すぐバレるんだから、この著者は出典を書けば良いのになぁ。。。と、少し微妙な読後感。
Posted by t-Gikan at 2011年02月06日 19:20
『cafeから時代は創られる』(飯田美樹, 2008/2009), p.373「結論」、p.375「おわりに」、これは一定に良いまとめ。
パリのカフェに天才達が集まった理由。
**********************
(1)商売人としての長期の視点を持ち、大金を払わず長居する客も受け入れる主人
(2)毎日通い続けられる程度の値段と味であること
(3)営業時間が長く、客が行きたいときにいつでも行けること
(4)ギャルソンや主人等、空間を維持する者が客の存在を快く承認すること
(5)主人を介しての常連客との会話
(6)主人が客達の人生を応援しはすれど、会話の中身や行為の内容自体には干渉しないこと
(6)客達にとって快適な空間が保証されていること
(7)テラスやカウンター、静かな2階席、常連用の奥の空間のように、用途によって空間を使い分けられること
(7)そのカフェを自分のカフェに選んだアトラクターの存在
以上のような客達とカフェという空間が相互作用をしたときに、真に力強い問題意識と解決策をもった様々な運動がカフェという場から起こりうるのである。
**********************
パリのカフェの時代が終わってしまった理由。
1 カフェに行く必要性の低下。昔は住環境が悪かった。
2 コーヒーをはじめとする飲み物が、手軽に自宅で飲めるようになった。
3 通信手段の発達。インターネットや電話の登場。
4 カフェ側のプロ意識の低下。
5 カフェ店内の環境の変化。ライブ演奏から、DJの居ないうるさい音楽。
6 通えるような値段のカフェの減少。
7 長いできるカフェの減少。
「5」BGMは厨房の雑音を紛らわせたり、隣の会話からのプライバシーを守るために、その程度の音量のBGMをカーテン効果と言って必要だと思いますけどね。
パリのカフェに天才達が集まった理由。
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(1)商売人としての長期の視点を持ち、大金を払わず長居する客も受け入れる主人
(2)毎日通い続けられる程度の値段と味であること
(3)営業時間が長く、客が行きたいときにいつでも行けること
(4)ギャルソンや主人等、空間を維持する者が客の存在を快く承認すること
(5)主人を介しての常連客との会話
(6)主人が客達の人生を応援しはすれど、会話の中身や行為の内容自体には干渉しないこと
(6)客達にとって快適な空間が保証されていること
(7)テラスやカウンター、静かな2階席、常連用の奥の空間のように、用途によって空間を使い分けられること
(7)そのカフェを自分のカフェに選んだアトラクターの存在
以上のような客達とカフェという空間が相互作用をしたときに、真に力強い問題意識と解決策をもった様々な運動がカフェという場から起こりうるのである。
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パリのカフェの時代が終わってしまった理由。
1 カフェに行く必要性の低下。昔は住環境が悪かった。
2 コーヒーをはじめとする飲み物が、手軽に自宅で飲めるようになった。
3 通信手段の発達。インターネットや電話の登場。
4 カフェ側のプロ意識の低下。
5 カフェ店内の環境の変化。ライブ演奏から、DJの居ないうるさい音楽。
6 通えるような値段のカフェの減少。
7 長いできるカフェの減少。
「5」BGMは厨房の雑音を紛らわせたり、隣の会話からのプライバシーを守るために、その程度の音量のBGMをカーテン効果と言って必要だと思いますけどね。
Posted by t-Gikan at 2011年02月06日 23:24
追記。
『cafeから時代は創られる』のカフェの歴史の出典としていろいろ記載のある中で、『カフェ』(渡辺 淳)の明記もありました。見落としていました、失礼しました。
「先行する著作の考察をなぞってますね。」というのも私の勝手な読後感をコメントしたものですが、飯田様からメッセージをいただきそうではなかったのですよとお伺いしましたので、こちらであわせてお詫び申し上げます。コメント失礼しました。
『cafeから時代は創られる』のカフェの歴史の出典としていろいろ記載のある中で、『カフェ』(渡辺 淳)の明記もありました。見落としていました、失礼しました。
「先行する著作の考察をなぞってますね。」というのも私の勝手な読後感をコメントしたものですが、飯田様からメッセージをいただきそうではなかったのですよとお伺いしましたので、こちらであわせてお詫び申し上げます。コメント失礼しました。
Posted by t-Gikan at 2011年02月15日 17:51